ドラマなどのテレビ番組を見て、実際に舞台となったロケ地を観光してきた。読者の中にこういった経験をお持ちの方はいないだろうか。最近では、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」を見た視聴者が、ロケ地となった岩手県久慈市の観光に押し寄せ、復興を後押したことが話題となっている。岩手経済研究所の発表では、あまちゃん効果による観光客は対前年で約2倍となる68万人、岩手県内への経済波及効果は約33億円と試算している。視聴率も高く、大きな話題になったことから、これだけの経済波及効果があったと考えられるが、地域の活性化におけるテレビ番組の影響力はまだまだ大きいと言えよう。
このテレビ番組を見てロケ地を観光するという行為だが、ドラマに限ったことではなく、アニメでもよく話題に挙げられ、“聖地巡礼”と呼ばれている。聖地巡礼が一躍世間の注目を浴びるようになったのは、埼玉県久喜市の鷲宮神社である。アニメ「らき☆すた」に鷲宮神社をモデルとした神社が登場すると、正月三が日の参拝客数は、アニメ放送前には7万人(2007年)だったのが、アニメ放送後には30万人(2008年)へと急増した。それ以降もさらに増え続けており、今年も47万人が参拝するなど、一過性のブームではなく、完全に定着した感がある(『毎日新聞デジタル』2013年1月8日より)。
この鷲宮神社の事例は、アニメを使った町おこしの成功事例として広く認知されているが、それ以外にも地域をモデルとしたアニメ作品を活用して地域活性化に取り組んでいる地方自治体は意外と多い。今回は、アニメ作品を通じた地域活性化とそれを支援するスマートフォンの活用事例を取り上げ、その可能性について論じて行きたい。
まず初めに取り上げたいのが、「ガールズ&パンツァー」(以下「ガルパン」)と茨城県大洗町の事例である。「ガルパン」は武道の一つとして戦車を扱う高校の女子高生達を描いたストーリーで、設定はやや突飛であるが、作品の中で大洗町の街並みを忠実に再現している。作品自体の人気が高かったこともあるが、放送直後から聖地巡礼目的の観光客が増加した。また、大洗町も町中にキャラクター等身大パネルを設置したり、ラッピングバスの運行やスタンプラリーなど町中を巡る施策、地元のお祭りに「ガルパン」関連のイベントを実施したりと、町をあげて県外からの観光客を誘致している。
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