“聖地巡礼”を町おこしにつなげるスマホの可能性--「ガルパン」「あの花」など - (page 3)

明石竹史(ドコモ・ドットコム)2013年11月15日 07時30分

 今回紹介した3つの事例はいずれも(1)聖地巡礼、(2)地域活性化、(3)スマートフォンの3つを組み合わせた施策である。この他にもアニメ作品を使って地域活性化を図っている事例は数多く存在するが、サービス提供側が聖地巡礼のツールとしてスマートフォンを活用するメリットは何であろうか。まず1つ目は、ユーザーの保有率が高いことである。特に聖地巡礼に訪れるような20~30代はスマートフォンの保有率が高く、ほぼ全員が外出時に携帯するといってよいだろう。

 2つ目は、特典をデジタル形式で提供することが可能な点である。前述した事例ではオリジナルのボイスや壁紙、動画などを提供しており、いずれも自分達でスマートフォンを操作してDLする仕組みになっているが、このような場合、システムさえ構築しておけば、特典の配布にかかるコストを圧縮することができる。

 3つ目はGPS機能である。人の手を介することなく対象のエリアに来たかどうかを自動判別することが可能なため、時間を問わず対応できるのが大きなメリットである。また、GPS機能はユーザーにとっても大きなメリットを持つ。旅行などで出かけた際、外出先でスマートフォンの地図機能を活用しているユーザーは多いが、特に聖地巡礼など多数の場所を訪問しなければならない場合でも、効率的にスポットを巡ることができる。

 上記の点から聖地巡礼とスマートフォンは非常に親和性が高く、サービス提供側とユーザー側の双方においてメリットが大きいと言えよう。しかしながら、スマートフォンはあくまで聖地巡礼を支援するツールに過ぎず、地域活性化の成否は、アニメ作品自体の人気や作品を盛り上げる地方公共団体等の取り組み内容に左右される。質の高いアニメ作品の制作と、ユーザーが聖地巡礼に訪れたいと思うような施策、そして聖地巡礼をより楽しめるツールとしてスマートフォンをいかに活用させるかといった仕組みが、成功への道標となるのではないだろうか。

 ここまで聖地巡礼について述べてきたが、スマートフォンは聖地巡礼に限らず、その他の観光においても活用できるのではないだろうか。GPS、地図機能は非常に便利な機能であるし、カメラ機能も旅行の際には欠かせない機能と言える。既に提供済みのサービスもあるが、観光客に地図や動画と連動する形で地域の特産品や名物、名所をアピールしたり、ご当地「ゆるきゃら」のデジタルコンテンツを配信するなど観光をより楽しくするさまざまなサービスが考えられる。こういった点からも観光におけるスマートフォン活用の可能性はより多く存在するのではないだろうか。ユーザー、地方自治体、サービス提供者の三者がWIN-WINの関係になれるような施策が今後もより盛んに展開されることをこれからも期待したい。

◇ドコモ・ドットコム
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