東南アジア発のマーケットリサーチ「UserScout」--年内に10万人目指す

 この連載では、シンガポール在住のライターが東南アジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、東南アジアにおけるIT市場の今を伝える。

 これまでと同様に、シンガポール国立大学(NUS)が運営するインキュベーション事業「NUS Enterprise」の支援を受けるスタートアップ企業の中から、同事業のメンターが推薦する企業を取り上げる。今回紹介するのは、マーケットリサーチを行うためのウェブプラットフォーム「UserScout」だ。

累計2000人が調査協力、大手調査会社の利用実績も

  • 「UserScout」のトップ画面

 UserScoutは、企業や教育機関など調査を実施したい団体や個人と、それに協力したい調査対象者をつなぐサービスだ。6月にサービスを開始し、これまでに90件の調査案件が投稿され、累計で2000人が調査対象者として参加している。案件は、米国、英国、シンガポール、香港、マレーシアなど世界中の都市から投稿されており、世界的に知られる大手調査会社も利用しているという。

 調査を実施するのは有料。メールアドレス、パスワードを入力し会員登録をする必要がある。続いて、5つのステップに沿って案件を投稿する。まずは、案件名やカテゴリ(Academic/Marketing/Usability Studyなど)、場所(オンライン/電話/対面)、インセンティブ(現金/クーポン/ギフト/無しなど)、問い合わせ先のメールアドレスなどを入力する。このとき、案件の詳細が書かれたウェブページのURLを知っている相手にしか公開されないように設定することもできる。

  • ステップに沿って案件の詳細を入力することができる

 次に、スケジュールの入力。同じ日付で複数回実施したい場合には、タイムスロットを追加することもできる。続いて、調査対象者の条件を入力。年齢、性別、人種、婚姻状況、居住地、国籍、言語、居住形態、学歴、雇用形態、業種、収入などで絞り込む。さらにその他の条件で絞り込みたい場合には、事務局に直接コンタクトを取ることもできる。このほか、対象者に知らせたいことを入力し、最後にメールでの通知タイミングを選択すれば、案件を投稿する準備は完了だ。

 対象者の案件参加への申込み状況は、会員ごとに割り当てられたダッシュボードで確認できる。申込みをした対象者のユーザー名、プロフィール、申し込んだ日付、審査結果が表示され、個別にメッセージを送ることもできる。

  • サービスの料金体系

 案件を投稿するための料金プランは4通り。最も安い「On- Demand」プランは、会員1人が1案件投稿するごとに29USドル支払わなければならない。調査対象者は100人までで、インセンティブは付与できない。投稿できる会員や案件、また調査対象者の数やインセンティブ付与などの機能に応じて料金体系は組まれている。「Professional」プランは月額69USドル、「Business」プランは月額199USドル。最上位の「Enterprise」プランは月額399USドルで、投稿できる会員は20人までと限られているが、案件や調査対象者数に限りはない。さらに、投稿した案件が対象者の目に触れやすくなるような優遇がある。

年内10万人規模を視野に、資金調達も予定

  • 投稿された案件の詳細

 案件に調査対象者として参加するのは無料。同じく、メールアドレス、パスワードを入力して会員登録し、氏名、生年月日、性別、人種、居住地、国籍、言語、居住形態、学歴、職業、業種、収入を入力する。登録をする際、あわせて友人知人へ紹介すれば、現金や賞品と引き換えられるクーポンが付与される。登録が完了したら、ウェブサイトをブラウジングし、案件を探し参加を申込む。これまで対象者に付与されてきたインセンティブの総額は4万USドルを超えており、インセンティブの単価は企業によるマーケティング調査案件が比較的高いそうだ。

 UserScoutのファウンダーであるAriff Munshi氏によると、案件はマーケティング調査だけに留まらず、ゲームや新しいウェブサービスのユーザーテスト、学術的な調査など多岐に渡るという。同氏も大学時代に携わった研究で調査対象者を探すのに苦労した経験から、このサービスのアイデアを着想したそうだ。

  • 「UserScout」ファウンダーのAriff Munshi氏

 今後は、調査対象者が閲覧する箇所を優先してスマートフォン向けにページを最適化し、ユーザビリティの向上と対象者の増加を狙う。2013年末までに10万人の対象者の登録と、500件の案件投稿を目指し、近々資金調達の予定もあるそうだ。東南アジア地域を対象としたマーケティング調査の需要はこれから拡大が見込まれる。UserScoutにとって、それは間違いなく追い風となるだろう。

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