パナソニックは10月31日、2014年3月期第2四半期(4~9月)の決算を発表した。あわせて事業変革の取り組みについて説明した。グローバルでの市況回復を背景にした車載関連事業の伸長や住宅関連事業の好調により売上高は前年同期比2%増の3兆7063億円、固定費削減や合理化の取り組みにより営業利益も同68%増の1466億円となった。税引き前利益は2074億円(同2787億円の損失)、当期純利益は1693億円(同6852億円の損失)となり、いずれも大幅増益となった。
好調に推移したのは、住宅関連のエコソリューションズと、車載関連のオートモーティブ&インダストリアルシステムズ。エコソリューションズは消費税増税前の駆け込み需要によるエナジーシステムやハウジングシステムの販売増が牽引し、売上高は8557億円、営業利益は414億円を記録。オートモーティブ&インダストリアルシステムズでは、車載関連事業の販売増と円安効果により、売上高1兆3559億円、営業利益582億円となった。
しかし、エアコン事業が悪化したアプライアンスは前年同期から減益の172億円、プラズマディスプレイ事業からの撤退発表やデジタルカメラが落ち込んだAVCネットワークスは165億円の損失となった。
こうした状況を受け、パナソニック代表取締役社長の津賀一宏氏はエアコン事業とDSC(デジタルスチルカメラ)事業の2つを新たな課題事業と位置づけた。「エアコン事業においては中国市場の悪化により一気に赤字に陥る見通し。中国市場の在庫適正化を図るとともに、商品づくりの見直し、大型空調の強化などを図る。DSC事業は、コンパクトカメラ市場が想定以上のスピードでスマートフォンに侵食され、赤字を拡大している。ミラーレス一眼カメラ「LUMIX GM」をはじめとする高付加価値ゾーンに特化するほか、固定費を圧縮する、当社の強みである通信や4Kなどの技術をいかして新カテゴリを送出するなどの施策を打つ」とした。これにより2013年内に再建のめどをつけ、2014年度の黒字化を目指す。
また、国内コンシューマ向けモデルの開発を休止したスマートフォンについては「スマートフォンを作ることで得た通信関連の技術を使ってBtoB向けのスマートフォンなどに応用していくことを考えている。加えて、カメラ事業やテレビ事業などと合わせた、コンシューマに向けた新しいタイプのモバイル商品が出せないかと思っている」とスマートフォンの技術をほかへシフトさせていくという施策を話した。
AVCネットワークスやアプライアンスなど、コンシューマ事業は厳しい数字となったが、車載、住宅など「2兆円」事業を目指す分野は好調な推移を見せる。こうした追い風もあり、2014年3月期通期の業績見通しを前回発表時から上方修正した。売上高は7兆4000億円(前回発表時7兆2000億円)、営業利益2700億円(同2500億円)、税引き前利益2100億円(同1400億円)、当期純利益1000億円(同500億円)としている。
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