Simon博士は、「Vawterさんがやろうとしていることと、バイオニック義足にできることに違いがあるとしても、例えば、つま先をどこかにぶつけたときのような違いだけに留めたいと思っている」と述べた。バンダービルト大学と義肢メーカーのFreedom Innovationsは現在、バイオニック義足の第2弾の開発に取り組んでおり、それはコンシューマーレベルの品質と頑丈さを備えたものになる予定だ。
とはいえ、日常生活では通常のメカニカルな義足を使っているVawterさんは、楽観的だ。「バイオニック義足のおかげで、私は事故で怪我してから初めて、自分がしたい動きを思考することで階段をスムーズに上り下りしたり、義足を組み替えたりできるようになった。これは私や、足を切断したすべての人々にとって、非常に画期的な出来事だ」。VawterさんはRICのプレスリリースでこのように述べている。
Hargrove博士は、「バイオニック義足は10年以内に大きな人気を獲得すると思う」と述べたものの、「その制御方法は変化する可能性がある」と付け加えた。
市場には既に複数のハイテク義肢が存在するが、それらは神経の再分布を行わずに単純な電極と内部モニターを使用する、とHargrove博士は指摘する。例えば「Bebionic3」は、多くのグリップパターンと、それぞれの指を極めて正確に動かせる性能を備えた義腕だ。その正確さがあまりにも突出しているので、Bebionic3は「ターミネーターの腕」と呼ばれたこともある。
とはいえ、科学が人間の手や足の機能を現実的に再現する使命を帯びているのなら、TMRの助けを借りて、思考で神経を制御することが義肢の理想的な未来だ。そこからさらに先へ進むためには、感覚フィードバックを可能にし、今よりもかなり自然に近い神経インターフェースを利用できる埋め込み型電極の使用を検討しなければならない、とHargrove博士は提案する。
「現時点であまりうまくやれていないのは、腕や足が空中のどこにあるのか、あるいは、踏みしめている地面がどんなものなのかについて、ユーザーにフィードバックを提供することだ」とHargrove博士は述べ、感覚フィードバックは研究が進んでいる分野だが、臨床使用までの道のりはまだ長い、と付け加えた。「そこまで進むためには、体内に埋め込むことが可能で、神経と直接情報をやりとりできるような最先端のセンサが必要になる」という。
そこへ到達するまでの道のりは長いが、Hargrove博士は自身のチームのバイオニック義足を装着する被験者と同様、未来への準備ができている。「義肢の性能は今後向上する一方だろう」(Hargrove博士)
「ここでその基礎を築いているところだと私たちは信じている」(Hargrove博士)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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