オンライン書籍販売業者として創設したAmazonを、インターネット上のWalmartへと進化させたJeff Bezos氏が、おむつの競り落としでWalmartと争うとなれば負けるわけにはいなかった。
Bloomberg BusinessweekのBrad Stone氏は自身の著書「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon」の中で、乳幼児向け製品のオンライン小売業者Diapers.comを運営するQuidsi買収をめぐってAmazonがWalmartと対決した際に、Bezos氏が進んでとった巧みな焦土戦略について詳細に語っている。Stone氏は、Bezos氏の1文字からなる電子メールが従業員らを危機管理へと駆り立てた様子や、同氏の思い切った行動がAmazonのデータ駆動型の発展と好対照を成したその他の事例も紹介している。
Quidsi獲得に向け、Amazonはまず同社サイト上の割引率を操作した。他社の価格監視などを行う独自のソフトウェアを利用してDiapers.comの価格を追跡し、競合する商品に関してAmazonの価格を最大30%引き下げた。
Walmartによる買収提案が、靴販売業者Zapposの買収でAmazonが設定した基準を下回っていたことに落胆したQuidsiの経営陣は、Amazonに話を持ちかけた。両社がAmazon本社で会合を開いている間に、Amazonは新サービス「Amazon Mom」を発表した。同サービスは、毎月の定期配送に登録した顧客に、1年間の「Prime」契約とおむつの30%割引を提供するというものである。
Amazon本社を後にした直後にそれを知ったQuidsi幹部らは、同プログラムによってAmazonが、おむつのみで3カ月間で1億ドルの損失を被ることになると、後に算出している。
そしてWalmartとBezos氏の間の買収合戦が激化すると、Bezos氏の代理人の1人がQuidsiに対し、Walmartが買収を勝ち取ったならば、Amazon最高経営責任者(CEO)であるBezos氏は、おむつの価格を無料にしかねないと警告した。
Amazon本社で会合を持った2カ月後、QuidsiはAmazonによる買収に合意した。
Stone氏は、次のように記している。
Bezos氏は戦いに勝った。最初に買収を持ちかけた競合企業の提案を無効にし、同氏の「Everything Store」にさらなる商品を並べた。Quidsiはその後まもなく、Wag.comでペット用品、YoYo.comで玩具へと事業を拡大した。Wal-Martは、新しい商品分野でAmazonと肩を並べる才覚を発揮した優秀な起業家チームを買収するチャンスを逃した。そして内部関係者らは、標的を崖から落としてさらなる買収を成し遂げたBezos氏の手腕に、またもや感嘆した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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