シアトル発--Amazonは創業時から、しばしば株主の意向に反して、利幅の拡大よりも新たなビジネスへの投資を優先させてきた。
米国時間5月23日に当地で開催されたAmazonの年次株主総会で、最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏は持論を繰り返し、同社がリソースを投入している10あまりの分野を挙げた。
16年前に新規株式公開(IPO)を行い、現在では従業員数8万8000人、アクティブカスタマー数2億900万人にまで成長したAmazonについて、Bezos氏は「われわれの考えは創業当時から変わっていない」と述べたうえで、「実際のところ、目覚まし時計はまだ鳴り続けており、スヌーズボタンを押してもいない状態だ」と語った。
Bezos氏は、出席者がまばらな今回の総会で新たな投資先を次々と挙げていった。同氏は、配送センターの自動化に貢献するロボットのメーカーKiva Systemsを7億7500万ドルで買収した件についても語った。また配送センター自体についても言及し、2009年末には39カ所だったが、現在では89カ所に増加したと述べた。
さらに同氏は、通常会員よりも迅速に商品を受け取れるとともに、映画のストリーミング視聴も可能な「Amazon Prime」サービスに対する投資にも言及した。同社は現在、4万本のビデオプログラムを提供しており、試作映像に対する視聴者からのフィードバックに応じて制作するかどうかが決定されるクラウドソーシングプロジェクトも含め、オリジナルコンテンツにも投資しているという。
Bezos氏は株主から厳しい質問をいくつか受けたが、その大半は暴力的な映画やビデオゲームの販売に関するものだった。武器に使われる部品の販売を禁止するが暴力的なゲームや映画の販売は禁止しないというAmazonの決定について、保守派団体のNational Center for Public Policy Researchの関係者から質問が出たが、Bezos氏は直接回答することを避けた。
しかし、他の2人の株主が暴力的な製品に関して引き続き質問したところ、Bezos氏は、物議をかもすコンテンツに関するポリシーの改善に会社として取り組んでいきたいと答えた。しかし同氏は、サードパーティーによってAmazon.comのマーケットプレイス上で販売される製品については、事前に止めることはできないと述べた。
同氏はマーケットプレイスについて「自主的に運用される必要がある」と述べるとともに「もしもゲートを設けたならば、それは角を矯めて牛を殺すようなことになる」と述べた。
また同氏は、いかがわしいコンテンツを子どもが視聴しないようにするためには、親が積極的な役割を果たす必要があるとも示唆した。なお、Amazonは同社の「Kindle」向けにそのためのツールを提供している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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