Jeff Bezos氏が約250億ドルの個人資産の1%を使って新聞社を買収する。そう、あのAmazonのBezos氏だ。同氏はこの20年で小売業界を再編し、自身が最高経営責任者(CEO)を務めるAmazonはこの5年間、利益を上げていないにもかかわらず、株価が80ドルから300ドルに上昇した。
由緒あるThe Washington Postの社員にとってはよい前兆だ。インターネットが新聞事業を破壊するなかで、同紙はレイオフや買収、優秀な人材の流出などに苦しんできた。Bezos氏がオーナーになることで、同紙は採算性についてそれほど心配しなくてもよくなり、世界で最も大きく、最も影響力のあるニュースメディア組織になることに、より注力できるかもしれない。
Bezos氏の性格からして、このような象徴的なブランドで受け身なオーナーになることはないだろう。同紙を所有するにあたってBezos氏が関心を抱いていることの1つは、別の業界に関与して、その業界を根本的に変革できるかどうか試してみることだ。
Bezos氏は同紙の社員に宛てたメモの中で、「The Washington Postの日常業務の指揮をとる予定はない」ことや、「同紙が義務を負うのは、これまで通り読者に対してであって、オーナーたちの個人的な利益に対してではない」ことを伝えた。さらに同氏は次のように付け加えている。「真実がどこへつながっていようが、真実を追い続け、過ちを犯さないように懸命に努力する。間違いを犯してしまったときは、それを迅速かつ完全に認める」
Bezos氏の言葉は、Aaron Sorkin氏制作のテレビドラマ「ニュースルーム」第3シーズンの冒頭のシーンのようだ。Bezos氏がAtlantis Cable Newsの新オーナーで、アンカーマンのウィル・マカヴォイとチームとともに働く。同氏は利益を放棄してニュース業界を再編し、何とかして米連邦議会が実際に米国民のための仕事をするように誘導する。
しかし、最高レベルの透明性を期待してはいけない。Bezos氏はいまだに「Kindle」の正確な販売台数を明かそうとしない。しかし、同氏がAmazonのサイトでKindleを宣伝しているようにThe Washington Postを宣伝したり、紙版の購読者への無料配達を提供したりすることは期待できない。The Washington PostはBezos氏の個人的な趣味であり、Amazonとの間に財務的な関係はない。同氏が2012年に500万ドルを出資したニュースサイトBusiness Insiderと同じケースだ。
Bezos氏はThe Washington Postと、The Washington Post Co.のCEOであるDonald Graham氏を尊敬している、と言った方が現実に近い。Bezos氏はメモの中で、どれだけコストをかけてもニュースを追うThe Washington Postの勇気に言及している。Bezos氏には「どれだけコストをかけても」という表現を、ニュース組織にとってより高尚な意味を持つように再定義する能力がある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス