iPhoneの新モデルとなる「iPhone 5s」と「iPhone 5c」が9月20日に発売された。新たにNTTドコモが参入したことで、国内主要キャリア3社すべてでiPhoneが取り扱われるようになり話題となっている。では、端末としての性能や使い勝手はどうだろうか。また、現在「iPhone 5」を利用している人が、あえて乗り換える必要はあるのだろうか。さまざまな角度から検証したい。
まずチェックしたいのが端末のスペックだ。iPhone 5s、iPhone 5c、iPhone 5の3機種の主要スペックを比較してみた。
名称 | 「iPhone 5s」 |
---|---|
チップ | A7チップ(64bit アーキテクチャ搭載)、M7モーション コプロセッサ |
メインカメラ | 8メガピクセル(F2.2、True Toneフラッシュ、バーストモード、スローモーションビデオ) |
サブカメラ | 1.2メガピクセル/720p HDビデオ(新しい裏面照射型センサー) |
通話時間 | 最大10時間(3G) |
連続待受時間 | 最大250時間 |
ネット利用時間 | 最大8時間(3G)、最大10時間(LTE)、最大10時間(Wi-Fi) |
本体サイズ | 幅約58.6mm×高さ約123.8mm×厚さ約7.6mm |
重量 | 約112g |
名称 | 「iPhone 5c」 |
---|---|
チップ | A6チップ |
メインカメラ | 8メガピクセル(F2.4、LEDフラッシュ) |
サブカメラ | 1.2メガピクセル/720p HDビデオ(新しい裏面照射型センサー) |
通話時間 | 最大10時間(3G) |
連続待受時間 | 最大250時間 |
ネット利用時間 | 最大8時間(3G)、最大10時間(LTE)、最大10時間(Wi-Fi) |
本体サイズ | 幅約59.2mm×高さ約124.4mm×厚さ約8.97mm |
重量 | 約132g |
名称 | 「iPhone 5」 |
---|---|
チップ | A6チップ |
メインカメラ | 8メガピクセル(F2.4、LEDフラッシュ) |
サブカメラ | 1.2メガピクセル/720p HDビデオ |
通話時間 | 最大8時間(3G) |
連続待受時間 | 最大225時間 |
ネット利用時間 | 最大8時間(3G)、最大10時間(LTE)、最大10時間(Wi-Fi) |
本体サイズ | 幅約58.6mm×高さ約123.8mm×厚さ約7.6mm |
重量 | 約112g |
基本的な点として、iPhone 5/5sと5cはボディデザインに大きな違いがある。カラーリングの種類は置いておくとして、ボディを構成する素材がiPhone 5/5sはアルミ素材なのに対し、iPhone 5cはプラスチック製(スチールの強化フレームにて補強)。実際に手に持つと安っぽさは感じないが、高級感という意味ではiPhone 5/5sに軍配が上がる。どちらかというと、iPhone 5cはポップなカラーリングが示す通り、色によってiPhoneを選びたいカジュアルユーザー向けなのだろう。商品としてのレベルを下げず、色によってユーザーを、つまりある意味で洒落たガジェット好きを狙ったものと思われる。
ただ、量販店の在庫事情を鑑みるに、多くの人はiPhone 5sを選んだようだ。特にiPhone 5sの「シルバー」「ゴールド」は人気色で、売り切れが続出。もともとの生産数が少ないのか、発売当日にはどこの店舗も売り切れという状態だった。確かに、アルミ素材では表現できないカラーリングをiPhone 5cはしているのだが、受け入れられるには時間がかかりそうだ。
次にスペックの話をしよう。まず、iPhone 5と5cを比べてみるとカタログスペック的にはサブカメラ(FaceTimeカメラ)の撮像素子が新しくなった程度の違いしかない。むしろ、若干ながらもiPhone 5cの方がサイズアップしており、サイズが重視されるスマートフォンにとってはデメリットでしかない。新しい撮像素子とサイズアップ。そういったプラスマイナスを考慮すると、iPhone 5と5cに極端な違いはないのではなかろうか。
一方で、iPhone 5sとiPhone 5/5cには大きな違いがある。最も大きな違いは「チップ」だ。いわゆる“処理”を行うのがこのチップの役割。これが高性能であればあるほど、端末はサクサク動く。ただし、その分エネルギーを使うため消費電力が問題となるのだが、バッテリ性能を比べる限りではiPhone 5sとiPhone 5c(iPhone 5よりも性能は上がってる)は同等。その辺はしっかりとチューニングされているようだ。
ちなみにiPhone 5/5cに搭載されているのが「A6チップ」、iPhone 5sに搭載しているのが「A7チップ(64bit アーキテクチャ搭載)」と「M7モーション コプロセッサ」の2つ。高性能なのに消費電力を抑えられたというカラクリは、搭載された2つ目のM7モーション コプロセッサにある。主チップであるA7の負担をM7モーション コプロセッサが肩代わりすることで、効率化を図っているというわけだ。A6と比べて最大2倍高速化するなど大幅に性能が向上されたというA7のウィークポイント(消費電力の増加)を副チップによって補っているのだ。
そして、高性能なチップを採用したことにより、カメラ関連の機能が軒並みパワーアップしている。オートフォーカスが最大で2倍高速化したほか、1秒間に10回の連続撮影を可能とする「バーストモード」に対応。従来よりも15%も大きくなった撮像素子とF2.2の明るいレンズにより、ブレ対策も万全。スナップ利用が多いスマートフォンだからこそ、こうした進化は歓迎できる。
ベンチマークアプリを使って計測してみた結果は以下の通り。
「Geekbench 3」(Single-Core Score/Multi-Core Score)結果だけみると、iPhone 5sが約2倍の数値をたたき出し、iPhone 5/5cはほぼ同等の性能であることがわかる。
この差については、電話やブラウズといった基本使用であれば実感できないと思うが、たとえば「Infinity Blade III」のようなグラフィックにこだわったゲームアプリだと如実に違いが分かる。特に同作は、iPhone 5sつまるところA7に最適化されたゲームアプリなので、アプリ起動の時間などの細かい点でもその差を感じられるだろう。
その他にも、iPhone 5sの優位性を高めるポイントとして、いわゆる指紋センサーである「Touch ID」の存在を忘れてはならない。スマートフォンと指紋センサーの組み合わせといえば、富士通のAndroid端末「ARROWS NX F-06E」などですでに実現されているが、その利便性は極めて高い。
たとえば片手で操作しなければならないようなシーンで、パターンあるいは文字数字によるロックを解除するのはなかなか難しい。しかし指紋センサーであれば簡単にロックを解除できる。また、iTunes StoreやApp Storeに利用できるのもポイントだろう。
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