携帯電話やスマートフォンの普及につれ、自宅で固定電話を使用する頻度は少なくなりつつあるかもしれない。
自宅に固定電話がありながら、つい面倒になって携帯電話からかけてしまう人は少なくないだろう。シャープの調査によれば、そういった中でも固定電話機の置き場所はリビングが56%、個人の部屋が25%で、家庭の中の“一等地”とも言えるリビングが圧倒的という。
また、加入電話は減少傾向にあるもののIP電話の増加により、2007年の5937万と比較し、2012年でも5691万となっており、固定電話回線の大幅な減少はないと説明する。
そこでシャープは、リビングに置くことを踏まえ、デザインにこだわりフォトフレーム機能やスマートフォンとの連携を強化した「インテリアホン」と名付けたシリーズに力を入れている。
9月13日に発売を開始した「JD-BC1CL/CW」(市場想定価格:1万3000円)はコンパクトさとスマートフォンとの連携機能が特長だ。Bluetoothで接続し、スマートフォンへの着信や発信を子機で操作して通話できる「スマホコネクト」機能を搭載する。
あらかじめペアリングしておけば、帰宅後にスマートフォンをカバンの中に入れたままにしていても、スマートフォンへの着信を子機で受けたり発信したりできる。
キャリアによっては、同じキャリア同士でかけ放題になる時間がある。そんなときは、スマートフォンは別途充電しておきつつ、子機でソファに座りながらゆっくり通話をしたり、通話をしながらスマートフォンを操作して地図を見たりSNSを見たりできて便利だ。
スマートフォンは2台まで登録でき、着信があった場合は電話機側のLEDディスプレイに「1」または「2」と番号の入った携帯電話を示すアイコンが表示されるほか、固定電話ならば家型のアイコンが表示され、それぞれ区別できるようになっている。
発着信はAndroidでもiPhoneでも可能。さらにAndroid端末ならば、Bluetoothを介してスマートフォンの電話帳を1件または選択送信で電話機に送信でき、着信時にどこからの着信かをディスプレイに表示させることも可能だ。
スマホコネクト機能は、2012年10月に発売した「JD-4C2」で初めて搭載した。JD-4C2は、4.3型液晶を搭載した小型のフォトフレームとしても使えるディスプレイ一体型の電話機だ。
デジタル情報家電事業本部 モバイルソリューション事業部 パーソナルソリューション推進部の藤井仰氏によれば、スマホコネクト機能について、「(着信は)あまり家族に見られたくないかもしれないと心配したが、アンケートでは48.6%と半数近くが利用している」と話す。単身ではなく家族がいる中で使っている人が多く、意外な結果だったという。
そこで、もう少しコンパクトなものが欲しいとの要望と、簡単に接続したいとの声に応え、JD-BC1CL/CWをラインアップしたという。スマホコネクト機能を強化し、本体ボタンを長押しするだけでペアリングできる「かんたんペアリングボタン」を装備した。
なお、JD-BC1CL/CWの本体(充電器)は高さ168mm×幅131mm×奥行き72mmで、LEDディスプレイを搭載する。ディスプレイには、時計や温度を表示でき、温度計を使用する時は、底面に収納された温度センサを背面に出すと正確に測定できる。
このほかにインテリアホンには、7インチの液晶画面を搭載したデジタルフォトフレーム型の「JD-7C2」がラインアップする。SDカードスロットを介して写真を映し出せるフォトフレーム機能と、ハンズフリーで電話ができるのが特長だ。
最近では、ファクシミリ/電話機が壊れた後、FAX機能は使わないからと普通のコードレス電話に移行するケースが増えてきているという。
国内で固定電話機を提供する主要メーカーは、シャープのほか、パナソニックとユニデンの3社だ。
パナソニックはインターネットが使えるタブレットタイプの「ホームスマートフォン」として「VS-HSP200S」をリリースしているほか、ユニデンは、スマートフォンとBluetooth接続できる「DECT3288」などをラインアップしている。
電話機という成熟しきった市場の中で、シャープは今後、スマートフォンとの連携を中心に機能を強化していく方針だ。
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