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LTEエリア競争「KDDIが断トツになる」--田中社長の“つながる力”戦略

藤井涼 (編集部)2013年09月02日 18時43分
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 KDDIは9月2日、4月から5月にかけて相次いで発生したLTE通信障害への対策の進捗状況と、今後のLTEネットワークの戦略について説明した。同日の記者会見にはKDDI代表取締役社長の田中孝司氏が出席し、通信障害の再発防止を誓うとともに、提供から1年が経ったLTEサービスの次なるビジョンを語った。

  • KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

 同社は4月27日、5月29日、5月30日に、LTE基地局制御装置(MME)のソフトウェアバグに起因する通信障害を起こした。東京都、神奈川県、山梨県の一部で、au 4G LTE対応機種(iOS/Android)のデータ通信サービスが利用できない、または利用しづらい状況となり、いずれも50万人以上に影響を与えた。

 KDDIでは6月10日に開かれた通信障害に関する説明会で、対策スケジュールを発表。この際に、ソフトウェア・ハードウェアの品質向上に向けて、フラグメンテーション処理に係るリセットバグやリカバリー処理バグへの対処を8月末までに完了させると説明していたが、これを前倒しで実施。さらに、6月10日時点では19台だったMMEを60台まで増設した。

 田中氏は「障害対処のフェーズはほぼ完了した。次はネットワークをさらに強化するフェーズだ」と語り、MMEなどの設備を引き続き増設し、LTEネットワークの拡充につとめることで通信障害や事故の再発防止を徹底する姿勢を示した。

  • 一連の通信障害の概要

  • 通信障害対策の基本方針

  • 通信障害の対策スケジュールと進捗状況

2年目に突入するau 4G LTE、キャッチフレーズは「つながる力」

 続いて、田中氏は「ちょうど我々がLTEをスタートして1年が経とうとしている」と語り、2年目に突入するau 4G LTEの新たな戦略について説明した。キャッチフレーズは「つながる力」。この言葉は(1)どこでもつながる力、(2)超高速でつながる力、(3)こだわりのつながる力、の3つのキーワードによって構成されているという。

 まず、(1)どこでもつながる力については、800MHz帯をベースのバンドとして、2.1GHz帯、1.5GHz帯の3つのバンドで展開することで、より広いエリアでLTEを使えるようにする。8月末時点の800MHz帯の実人口カバー率は97%だが、これを2014年3月末には99%まで引き上げる。わずか2%だが、面積比では従来の約1.5倍の規模に拡大するという。

  • LTEサービスの新たなキャッチフレーズは「つながる力」

  • マルチバンドでLTEのエリアを確保

  • 実人口カバー率の増加によるカバー面積の拡大

 なお、今夏発売のAndroidスマートフォンはこのトリプルバンドに対応しているが、iPhone 5は2.1GHz帯のLTEネットワークのみで利用できる。この2.1GHz帯の実人口カバー率については、「今年度末に80%までに、また来年度は90%までもっていくと話していたが、さらに上がる予定で、このままいけば80%台の半ばまでいける」(田中氏)としている。

 (2)超高速でつながる力については、800MHz帯の混雑状況に応じて、2.1GHz帯、1.5GHz帯の中から、空いている周波数帯を自動で選んで切り替えることで、3つのバンドにほぼ均等に顧客が割り振られるようにコントロールするという。「たとえば通信速度が70Mbps出たとしても2人で使っていると35Mbpsずつになってしまう。帯域をいかに効率よく使うかがポイントになる」(田中氏)。

 また、総務省が公開している各社のLTE基地局免許許可数の内訳データ(8月3日時点)を紹介。2.1GHz帯については、NTTドコモの3万2000局、ソフトバンクモバイル(イー・アクセス含む)の2万9000局よりも少ない2万4000局だが、iPhoneの次期モデルが対応するとみられる800MHz帯については、KDDIが3万1000局で最も多いと強調する。

 田中氏は、これらのデータはあくまでも許可数であり、現在建設中の基地局もあるとしながらも「LTEのエリア競争は、KDDIが断トツでこの秋以降やっていけるのではないかと思っている」と自信を見せた。

  • マルチバンドをシームレスに切り替えて混雑を回避

  • 各LTE基地局免許許可数の内訳(総務省が発表)

  • 2.1GHz帯は2013年度末までに80%超え目指す

 最後は(3)こだわりのつながる力だ。田中氏は「やはり(サービスの)提供者目線で何パーセントと言っていても仕方ない」と語り、新幹線での移動中や地下街などの屋内、大勢の人が詰めかけるイベント会場などで、つながりを実感してもらえることが重要だと話す。同社が東海道新幹線の東京~新大阪間(トンネル区間を含む)で通信環境を調査したところ、LTEから3Gへのハンドダウンは片道で平均2.1回だったという。また、全国の地下鉄駅の99%でLTEが利用できるほか、東京都内の地下鉄駅間のLTE対応率も99%であるとした。

  • 高速移動中や屋内などでもつながるLTEを提供へ

 さらに、花火大会や展示会などイベントにおける通信環境の改善にも努めていると説明。同社では今夏、全国約370のイベント会場でTwitterなどの顧客の声をリアルタイムに収集し、適切なトラフィック対策を実施してきたという。8月10~12日には東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット84」のイベントスペース内に、“痛車風”のLTE対応車載型基地局を配備するなどしたが、現地の顧客からも高評価が得られたと振り返った。

 田中氏はこれらの取り組みや実績を紹介し、「新しいau 4G LTEのつながる力として、この3つで頑張っていきたい」(田中氏)と意気込んだ。

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