KDDIは7月19日、海底ケーブル保守船「KDDIオーシャンリンク」の報道陣向け見学会を開催した。KDDIオーシャンリンクは海底ケーブルの敷設・保守船として1992年に誕生。KDDIの100%子会社である国際ケーブル・シップが保有する2隻の保守船のうちの1隻だ。運行および船舶管理は商船三井グループのMOLケーブルシップが担当している。
ケーブルシップは現在、世界に40隻程度あるという。日本で民間保有のケーブルシップとしてはKCSが保有する2隻とNTTワールドエンジニアリングマリンの持つ1隻の合計3隻が存在している。見学会の冒頭では国際ケーブル・シップ 代表取締役社長 矢田部亮一氏から「我々が作業甲板と呼ぶ広い作業場には柱が1本もない。我が国が持っていた航空母艦を作る技術が活かされている。そうしたアナログなものからITまで全ての技術がこの船の中にある」とケーブルシップの特殊性が紹介された。
KDDIの海底ケーブル事業への取り組みについて、KDDI 国際ネットワーク部 グループリーダーの原田健氏が解説した。1990年代に衛星通信を海底ケーブルが凌駕する大容量通信に対応するようになった結果、現在は国際通信の主流は海底ケーブルになっているという。
具体的な業務について解説した国際ケーブル・シップ 取締役総務企画部長 木本氏将氏は、ケーブル修理船について「365日、24時間ベースで待機し、ケーブル障害が発生した場合には24時間以内に緊急出航する義務を持っている。消防車のような存在」と紹介。特にKDDIオーシャンリンクは「MARCAS-IV」という水深2500mで作業できるロボットを搭載するなど高性能であることをアピールした。
主な役割は「横浜ゾーン」と呼ばれるエリアのケーブル保守だ。中国と韓国の船とともにこのエリアの保守を担当。同じタイミングで2隻が保守できるようになっているという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」