オブジェクト選択と動画、番組同期を組み合わせたものとしては、カメラ視点をユーザーが任意で切り替えられるサービスも検討されている。大人数がステージ上に登場するアイドルグループのパフォーマンスを視聴する際、好きなメンバーを選択することでその人物を中心とした画面に切り替えられるというものだ。
これは放送本線では全体映像中心、ネット経由でメンバー個々中心の動画を配信して、リアルタイムに切り替えることで実現できる。なお、ステージ全体の映像を4K/8Kなどの高精細映像で撮影しておけば、切り出した映像もハイビジョン品質となるため、メンバー分のカメラ台数を用意する必要はない。
たとえば当初、各種サービスはスマートデバイスにおけるアプリの概念で、視聴者がそれぞれ好みの機能やサービスを選択して、自由にテレビをカスタマイズできるというスマートテレビに近いものだったはずだが、先日の発表を見る限り、そうした方向性は見られない。ユーザーには表示する・しないの選択権はあるものの、あくまで放送局が選んだ情報が送られてくる、という印象だ。これでは電波で送られてくるものが情報から制御信号に変わっただけで、データ放送と大きくスタイルは変わらない。
これもスマートテレビが思ったほど普及していないことが原因のひとつで、鍵を握るであろうサードパーティによるテレビ向けアプリの開発体制が充実していないことに加え、テレビメーカーによる端末の開発も大きな進展が見られなかった。テレビ向けアプリ開発の環境が充実していなければ、信頼性の面からNHKは自社発信の情報・サービスのみに頼らざるを得ず、また端末状況によって実現できるサービスも限られてくる。
将来、ここにさまざまな事業者が参画してきた際に、ネットの持つ自由度の高さと、放送局が保持すべき信頼性の確保という点で両立が迫られる部分はあるが、まだその課題に取り組む段階まで進んでいないのが現状だ。実際には高いポテンシャルを秘めているだけに「データ放送の進化版」というイメージが定着しないよう、早期にハイブリッドキャストならではのサービスを投入していくことが求められるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
働くあなたの心身コンディションを見守る
最新スマートウオッチが整える日常へ
Copilot + PCならではのAI機能にくわえ
HP独自のAI機能がPCに変革をもたらす
ドコモビジネス×海外発スタートアップ
共創で生まれた“使える”人流解析とは