IBMの研究者らが米国時間8月7日、人間の脳を模倣するまったく新しいコンピューティングアーキテクチャを発表した。
IBM Researchは7日夜の発表で、脳の大きさや機能、消費エネルギーの少なさを構造の手本とするシリコンチップをプログラミングするために、新しいソフトウェアエコシステムを設計したと述べた。同社はこのブレークスルーについて、知覚や認識、行動における脳の働きを模倣する次世代アプリケーションの支えになるものと期待している。
IBMの研究責任者であるシニアマネージャーのDharmendra Modha氏は、声明で次のように述べている。「ニューロシナプティックチップにとってのFortranを開発しようと取り組んでいる。この技術は、現代のコンピュータに足りない部分を補うとともに、まだ開発途上にある新たな学習システムのプログラミングと応用の点で、まったく新しい技術的可能性を生み出すだろう」
正確に言うと、IBMが開発したのは、マルチスレッド化され、大規模な並列処理が可能で、しかも拡張性に優れているというソフトウェアシミュレータであり、同社が思い描いているような、ニューロシナプティックコアのネットワークで構成される認知アーキテクチャをシミュレートする。
同社はさらに、高度にパラメタライズされたスパイキングニューロンモデルも開発した。このモデルは、シンプルかつデジタル的な動作を意図したもので、「脳と同じように計算を行う基本的な情報処理ユニット」を形成し、「幅広い決定論的および確率論的なニューロコンピューティングやコード、行動を支える」という。IBMによると、こうしたネットワークは、多くの「時空間における複合的な環境刺激」を記憶したり感じ取ったりすることが可能で、それに基づいて行動することさえできるという。
IBMの長期的な目標は、消費電力がわずか1キロワットで、容量が2リットル未満でありながら、100億のニューロンと100兆のシナプスを持つコンピュータチップシステムを開発することで、そのために、同社は脳をモデルとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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