サムスンは、10年にわたる研究開発の末に、3次元垂直構造のNAND(V-NAND)フラッシュメモリの大量生産を開始した。
韓国企業であるサムスンは現地時間8月6日付けのブログ投稿で、V-NANDはNAND型のストレージやソリッドステートドライブ(SSD)を含む、コンシューマー向けの電子機器や企業向けの応用製品の双方で広く使用されることになると記している。
サムスンのV-NAND製品は、垂直方向のスケーリング(微細化)技術と垂直セル構造を採用することにより、単一チップで128Gビットの記録密度を実現している。同社によると、V-NANDは3Dの「チャージトラップフラッシュ」(CTF)技術、および3Dセルアレイを結合する垂直結線プロセス技術を用いることで、標準的な20ナノメートルの平面型NANDフラッシュメモリ製品の2倍以上の微細化が可能になるという。
従来のフラッシュメモリは2次元構造に基づいている。しかし技術が進歩し、10ナノメートル台の微細化が進むなか、スケーリングの限界が問題となりつつある。というのも、ナノメートルレベルとなっている回路の線幅を縮小することで、信頼性の低下や、開発期間および全体的なコストの増大というトレードオフが発生するためだ。
サムスンの製品は平面構造を採用するのではなく、平面構造のセルを垂直方向に積層している。3D NANDメモリのアーキテクチャは以下のように説明されている。
サムスンのCTFをベースにしたNANDフラッシュメモリのアーキテクチャでは隣接セル同士の干渉を防ぐために、浮遊ゲート方式を採用するのではなく、窒化ケイ素(SiN)からなる非導電性層のホールディングチャンバー内に電荷を一時的に蓄えるようになっている。
サムスンは新たな垂直構造の採用により、ますます困難になってきている平面構造の微細化という難問に挑み続けることなく、セルのレイヤを3次元化することで、より記録密度の高いNANDフラッシュメモリ製品を作り出せるようになった。
同社によると、CTFのレイヤを3次元化することで、フラッシュメモリの信頼性と速度の双方を向上できたという。標準的な10ナノメートルクラスのNANDフラッシュメモリと比較すると、同製品の書き込み時のパフォーマンスは2倍になり、信頼性も同社によると少なくとも2倍、場合によっては市場に出回っている製品の最高10倍にまで向上したという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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