ソニー、2013年度最大の課題はエレクトロニクス事業の黒字化

  • 2013年3月期連結業績

 ソニーは5月9日、2013年3月期通期(2012年4月~2013年3月)の連結決算を発表した。売上高は6兆8000億円(前年比4.7%増)、営業利益は2301億円(前年は673億円の損失)となり、黒字転換した。スマートフォンの販売台数を大幅に伸ばしたソニーモバイルコミュニケーションズ(ソニーモバイル)を100%子会社として連結したことなどによる売上高の増加、金融、映画分野の好調により営業損益を大幅に改善した。税引き前当期純利益は2456億円、当期純利益は430億円で、この中には米国本社ビルやソニーシティ大崎など資産売却の影響も含まれる。


ソニー執行役EVP CFOの加藤優氏

 ただし、エレクトロニクス5分野については、「改善したものの、赤字を計上しており課題を残す結果となった」(ソニー執行役EVP CFOの加藤優氏)とした。

 エレクトロニクス5分野とは、カメラ事業などの「イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)」、「ゲーム」、スマートフォンやPCなどを有する「モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)」、液晶テレビ、オーディオなどを含む「ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)」「デバイス」のことだ。

  • テレビ事業の売上高と営業利益

 事業再編に取り組む液晶テレビは、売上高5815億円(前年8404億円)、営業損失696億円(同2975億円の赤字)となった。売上台数も2011年度の1960万台から1350万台へと減少した。加藤氏は「2012年度は数量を追うのではなく、収益重視の施策へと舵を切った。そのため2012年度の売上台数は一度身をかがめた状態。これにより売上高は減ったが、赤字幅はかなり圧縮できた」と液晶テレビ事業の現状を説明。その上で「2013年度は、商品的なコストダウンがかなりできており、4K、トリルミナスといった商品もある。売上台数も1600万台と想定しており、黒字化を目指す」ことを明らかにした。

 一方、好調なソニーモバイルを有するMP&C分野は、売上高が1兆2576億円と前年比約2倍の大幅な増収に結びついた。PCの販売台数は減少したものの、フィーチャーフォンからスマートフォンへの製品構成のシフトに伴う平均販売価格の上昇、スマートフォンの販売台数増加などが増収の要因。しかし営業損失は972億円の赤字(同72億円の黒字)と大きく落ち込み、これはソニーモバイルの支配権取得にともなう評価差益1023億円が含まれていたこと、PCの減収、為替の悪影響によるものとしている。

  • 2014年3月期連結業績見通し

 加藤氏は2012年度を「赤字に苦しんでいた中、なんとしても黒字化に持っていくことを第一目標に掲げ、最終損益段階で利益を計上することができた。エンタテインメントは安定的に利益に貢献しているが、エレクトロニクス分野は市場環境、競争環境で厳しいものがあったと言わざるをえない。ただし為替が12月半ばから円安傾向に触れてきたのは好影響だった」と振り返る。

 2014年3月期(2013年4月~2014年3月)通期の連結業績は、売上高で前年比10.3%増の7兆5000億円、営業利益2300億円と予想している。「営業利益は2013年3月期とほぼ同程度と予想しているが、今度は資産売却で収益を上げるのではなく、エレクトロニクス事業を回復して収益を上げる構造にする。エレクトロニクスの黒字化が最大の課題」とした。

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