ソフトバンクモバイルは5月7日、2013年夏モデルとなる新商品7機種を発表した。記者会見は過去の記者会見のダイジェスト映像で幕開けし、「電話からインターネットへ」「iPhoneは売れないと言われた」「高画質なビジュアルが当たり前だと言われる時代になる。キーワードはWi-Fi」「データ転送量が今後5年で50倍になる。マクロセルからマイクロセルへ。設計思想が変わる」など、2008年ごろから現在までのキーワードを振り返った。
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「まさに5年ぐらい前から申し上げていたことが現実のものになっている」と意気込む。
携帯電話販売台数のうち、スマートフォンの販売率は2009年に1割だったところから2012年には8割に上昇。「そういうものは日本のユーザーには売れないといっていたのがウソのよう」(孫氏)と感慨深く語った。
一方で、トラフィックの量も2008年から5年で60倍にも跳ね上がったという。
「この問題をいかに未然に防ぐか。世界で最も早く、スマホ時代のネットワークづくりを心がけてきた。インターネットの爆発的な量をさばくための設計思想は“Wi-Fi”“小セル化”“ダブルLTE”の3つ」と語り、ソフトバンクは以前からインフラを整備してきたことをアピールした。
イー・モバイルの買収により1.7GHz帯を得たソフトバンクは、2.1GHz帯と合わせた「ダブルLTE」にiPhone 5とiPad Retinaディスプレイモデル、iPad miniモデルの3機種が対応する。「高速道路が一車線から二車線になった。(パケットが)バイパスしたように、スイスイ流れていく」と表現する。
一方でAndroid向けには、下り最大76Mbpsの高速データ通信サービス「SoftBank 4G」を用意し、AndroidとiOS端末のトラフィックを分散するのが同社の戦略だ。今回発表されたAndroid端末はすべてSoftBank 4Gに対応している。
Wi-Fiスポットは、数を誇るだけでなく品質改善にも取り組んだという。Wi-Fiスポットの認証に「SIM認証方式」を導入することで、接続まで2秒から4秒程度になり、従来のウェブ経由のサーバ認証方式(10秒から12秒)と比べて8秒程度短縮できたという。さらに、「街中にWi-Fiスポットを作った結果、混信した弱い電波を拾ってしまい意味がないということになった」として、感度がある一定の基準値以下になったものはWi-Fiから3GやLTEに切り替える仕組みを導入した。
都心では基地局と基地局が近くなりすぎて電波が干渉することから「クラウド基地局」を計画。SFN(Single Frequency Network)により、複数の基地局を1つの基地局としてネットワークを構築することで、混信が起きにくくなったという。
孫氏は「この規模で行っているのは、ソフトバンクが世界初」と意気込む。Sprintの買収をめぐり正念場となっていることを意識し、Sprintのネットワークと互換性のあるTD-LTE互換の方式ですでに実運用していることをアピール。「双方の資産の根底、シナジーの部分について補強できたのではないか」と語った。
「結果、なにがもたらされたか。世界で最高レベルのスマホのつながりやすさが実現できた。世界で一番つながりにくいという印象を持っているかもしれないが、それは数カ月前までの話。単なるイメージ戦略ではなく、科学的に基づいた、設計思想の結果」と意気込む。
なお、7日夜からまた孫氏は米国に出張予定で、主にSprintの株主である投資家らを相手に話し合いをするという。
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