カリフォルニア州エメリービル発--4月上旬、Pixarの最新映画「モンスターズ・ユニバーシティ」の劇場公開までには、まだ2カ月強あった。多数のヒット作を生み出しているこの会社では、映画制作者たちが何年もかけて全力を尽くし、かつては2001年の「モンスターズ・インク」の前日譚向けのアイデアでしかなかったものを銀幕で上映するために、あらゆる手順を遂行してきた。
そこから32マイル(約51.5km)離れたSkywalker Ranchでは、「モンスターズ・ユニバーシティ」チームの一部が依然とあくせくと働き、同映画のサウンドのミキシングを行っていた。しかしThe Steve Jobs Buildingの中にあるここPixarの本社では、ほぼすべての作業が終了している。4年を経て、Pixar映画を制作するという大変な仕事が終わった。
「モンスターズ・ユニバーシティ」のプロダクションデザイナーであるRicky Nierva氏は、「われわれの制作オフィスには、非常にユニークなものがある」と述べる。「すべての部署にはScare Canister(恐怖キャニスター)があり、電球を設置している。100(%終了)に近づくにつれて、電球に灯りをともす。したがって90%終了したときは、電球が1つだけ残る。そこまで行くと、電球点灯式がいつ行われるのかを把握できる。最後の電球を点灯すれば、作業は終わりである。100%完了したということだ」(Nierva氏)
そして、偶然にもその日が記念すべき日だった。「今日は電球点灯式が行われる予定だ」とNierva氏は述べた。照明、レイアウト、セット、アニメーション、およびシミュレーションを担当する部署の電球点灯式である。「それらすべての部署でだ」(Nierva氏)
監督のDan Scanlon氏、プロデューサーのKori Rae氏、そのほかの数名を除けば、Nierva氏は誰よりも長い間、「モンスターズ・ユニバーシティ」に取り組んでいる。同氏はこの映画がゆっくりと、少しずつ現実になっていくのを見てきた。Nierva氏は、「大詰めに差し掛かったことを実感できるのは、下見用映像で作業をしていて、残りのショット数が60になったとか、40になったとかという報告が聞こえてくるときだ。7万(くらい)あるという報告を受けたときのことを私は覚えている。そのため、ショット数が2桁になったら」作業はほぼ完了だ、と述べた。
Pixarは、制作サイクルが4~5年であること、そして、毎年1本の新作映画を発表することで有名だ。米国時間6月21日、「モンスターズ・ユニバーシティ」は全米で公開された(日本では7月6日に公開)。2012年は「メリダとおそろしの森」、2011年は「カーズ2」だった。その前は「トイ・ストーリー3」「カールじいさんの空飛ぶ家」「ウォーリー」だった。しかし、Pixar映画を実際に完成させるには何が必要なのだろうか。
業界で最高峰のサウンドミキサーを備えるSkywalker Ranchほど美しい職場は、世界でもまれである。サンフランシスコの約30マイル(48.3km)北、カリフォルニア州ニカシオにあるSkywalker Ranchの特徴は、果てしなく続く丘と目を見張るほど美しい庭園、湖、そして、あたかも自分が楽園にいるかのような、時間を超越した感覚だ。
Scanlon氏は、「映画が完成する時に、少しの間スタジオから出てSkywalkerに行くのは本当に素晴らしい体験だ」と述べる。「あそこの環境は本当に美しい。どの方角にも美しい土地が広がっている。その後、本当に魅力的なこれらの建物の中に入る。そして、映写室に入って一日中自らの映画を鑑賞し、鳴り響く音響の効果に耳を傾ける」(Scanlon氏)
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