口で言うのと、実際にやるのとでは大違い。それをこれほど実感した人はそういないだろう。マッキンゼーのコンサルタントとして、企業にアドバイスをする立場から、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を興し、会社を経営する立場になり、現在も走り続けている南場智子氏のこれは人生の記録だ。
マッキンゼー時代の仕事量も凄まじいが、起業してからのそれとは比べものにならない。会社経営に外からアドバイスすることと、会社そのものを経営することとは、似て非なるものなのだ。本書からはがむしゃらに会社経営に取り組む南場氏の熱い想いまでも伝わってくるようだ。ただ、本人だけが無我夢中で働いていただけではない。常に支援してくれる人が現れる。それは仲間であったり、師匠であったり、パートナーであったりと、さまざまな立場で南場氏を助けてくれる。
一度の失敗もなく、ずっと順風満帆な会社などない。仕事一筋できた南場氏だが、あることがきっかけで、家族との過ごし方が変わる。こうした人生の節目にも、会社の経営をまかせられる、頼れる人がいることが素晴らしい。そのような環境を作ってきたことは、「不格好」ではなく「格好いい」ことだと言えるのではないか。
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