取扱説明書にも詳しく記載があるが、電池式直熱管には物理的衝撃が加わると「キーン」という風鈴のようなマイクロフォニックノイズが出る性質がある。本機は衝撃が真空管に伝わらないよう保持部分に独特な防振対策が施されてはいるが、それでも強い衝撃が加わると聞き取ることができ最初は少し驚くだろう。この音は意外に長く持続するので静かな曲では気になる場合もあるが、そんなときは一度電源を切るとすぐに止まる。
このノイズは本体を机の角などに「コツン」とぶつけた時に出やすい。扱いに慣れたらハンドリングに気を使うなど、オペレーションの工夫で回避できる。実用上で問題となることは少ないだろう。さらに後述の専用レザーケースをはじめ、クッション性のあるケース、カバーを使用することで劇的に発生確率を減らすことができる。
本機の特徴としてユーザー自身の手でオペアンプを交換することが可能だ。標準ではJRCのMUSES8820が装着されているが、バーブラウンのOPA2604が同梱されていて手軽にチャレンジできる。交換作業は簡単でキットメーカーの面目躍如だ。手慣れた手法と明快な解説で実に鮮やかな印象だ。作業は親切な取説書に従えば難しいものではないが、少々コツ、というか「度胸」が必要だ。
実際に交換してみると、バーブラウンはさらりとした上品なサウンドで、整った音質だが少々よそよそしい感じがしないでもない。幸いにも標準の8820は骨太で親しみやすく、本機独特の心地良い音が充分に楽しめるので無理に交換をあせらず、しばらくは標準状態で楽しんでからチャレンジするのも良いだろう。
本機の開発と同時進行で、高品位なステーショナリ・アパレル雑貨ブランドabrAsus(アブラサス)が専用のiPhone用真空管アンプケースの開発を行っている。このケースはiPhoneとセットで使用することを想定したもので、ヌメ革「ブッテーロ」を使用し、価格は1万1500円。本体発売と同時に販売を開始した。こちらも現在は予約受付中で、7月22日出荷予定という。
「TU-HP01」単体のハンドクラフト感も決して悪くないが、このケースと組み合わせることで一気にスマートな雰囲気が出てグレード感が高まる。ケース背面のポケットはiPhoneにベストマッチしていて、頭から入れるとちょうどホームボタンとミュージックコントロールが表に出る深さに設計され、ケースに入れたままオペレーションが可能となる機能的な設計だ。またボリュームつまみ背面のガードにより不用意に電源が入るなどのアクシデントを防ぐことができ、操作性も大幅に向上する。
この他にもイヤホンの収納方法など、随所に細かい配慮の行き届いたすぐれたデザインが施され、仕上げも非常に丁寧で満足感は高い。良質な皮革によるクッション効果でマイクロフォニックノイズ軽減にも劇的とも言える効果があるので、本体と同時の導入を検討されることをおすすめする。
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