幕張メッセで開催されているネットワーク技術の展示会「Interop Tokyo 2013」。初日となる6月12日には、「日本のSNSはどこに向かうのか」と題する基調講演が開催され、niconico、GREE、LINEなど、人気ネットサービスのキーマンが、今後のSNSのあり方について議論した。モデレーターはITジャーナリストの津田大介氏が務めた。
津田氏はまず、近年SNSサービスが世界にもたらしたさまざまな影響について語った。2010年ごろから中東や北アフリカで民主化運動「アラブの春」が発生したほか、2011年に起きた東日本大震災ではソーシャルメディアが広く活用された。さらに2012年に起きた首相官邸前でのデモでは、参加者の8割がネットメディアを使って集まった。
このようにSNSは人を集めることに大きく影響し“動員の革命”を起こしたが、これからはその先で何をするかが問われていると津田氏は話す。その例として最近話題となった“ネット選挙運動の解禁”をあげ、メリットやデメリット、さらにはネットと政治の関わり方について解説。ネット上の有名人が参議院選挙の全国比例区で当選する可能性も出てくるなど、SNSが新しい情報流通網となることで大きな影響をもたらすことを示唆した。
SNSとリアルとの関係を考える上で、注目されるのが既存のマスメディアとの関係だ。コミュニティ機能を持つ動画共有サービスを中心とした「niconico」を運営するニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏は、この点について「ネットサービスは異なるセグメントの集合体。各セグメントで価値が共有され、深く濃密な議論が形成されており、それが広がることでマス的なものが再形成される」と、マスメディアとの違いを説明。
動画サービスということでマスメディアから敵視されていた時代もあったが、2012年の衆議院選挙前には党首討論会を開催したり、現在はテレビ番組の舞台裏を取り上げる連動企画を提案したりするなど、独自の取り組みも数多く実施している。同社では現在、3306万人(有料会員は198万人)もの会員を獲得しているという。
グリーの取締役 執行役員常務 最高技術責任者 開発本部長である藤本真樹氏は、5年前からマスメディアを活用した広告を展開している経験から、「最初はどのような効果があるのか分からなかったが、現在もテレビCMを続けているのは、効果があるからに他ならない。マスでできることとネットでできることには違いがあり、双方をどうコンバージョンするかを試行錯誤してきた」と説明。異なる性格を持つSNSとマスメディアをどう連携させていくかが重要と説いた。
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