銀行口座やカードを一括管理--“お金の流れ”が一目で分かるiOSアプリ「Moneytree」 - (page 3)

iPhoneがあったから起業した--創業とビジネスの狙い

 便利な一方で、スタートアップ企業が手がける金融アプリは不安もあるかもしれない。しかも、アプリは無料なのだ。どのようにビジネスを行っていくのか。マネーツリーがアプリを開発した経緯や狙いはなにか。

Moneytree 4つの強み
Moneytree 4つの強み

 マネーツリーのファウンダーであるポール氏は、オーストラリア生まれ。18年前に初めて来日し、高校から日本に留学、埼玉大学などで日本語を勉強したという。採用管理ソフトウェアのスタートアップやスマホアプリ開発スタジオなどを経て、マネーツリーを設立した。

 「“脱サラ”を決めたきっかけはiPhoneの人気急上昇。2008年にアプリ開発が人気になって3人でつくってみようと思った。ゴールデンウィークに心を決めた。資料が少なくて、どうやってできるか分からなかったが、イチからスタートし、3日でよく落ちるアプリを作れた(笑)」と笑いを誘った。

 ポール氏は「自分とお金の関係をシンプルに一新したい」──とMoneytreeのコンセプトを流暢な日本語で語る。

iPhoneを最初に選択した理由
iPhoneを最初に選択した理由

 Moneytreeのポイントは、取引時におけるセキュリティの安全性にもあるという。「iPhoneのセキュリティは世界で一番」と話す。

 昨今では、金融機関をターゲットにしたウィルスやマルウェア、フィッシング詐欺などが増えているが、iOSはここ数年、悪質なウィルスやマルウェアに侵害されたという報告がないと言われる。

 セキュリティ対策が不十分なPCからオンラインの口座にアクセスするよりも、Moneytreeのアプリ上からアクセスしたほうが、リスクが少ないと説明する。

 Moneytreeで入力した口座番号、パスワードなどの情報は、認証サーバで安全に保持されており、デバイス(iPhone、iPad、など)側には取引明細データは保存されているが、金融機関へのログイン情報は保存されない。データセンターはAmazon Web Servicesを使用しているという。

 「iOSは本当に高度なセキュリティ。ウイルスもなくマルウェア、キーロガーなどもない。スタートアップはお金にかかわるビジネスをしても、消費者からの信頼を得るのは難しい。だからiOSを選んだ」(ポール氏)と語った。

 現状は、「(セキュリティについて)100%納得してくれているわけではないが、利用者自体の反応はすごくいい。でも、プライバシーとセキュリティが守られなければ、ユーザーはアプリは使いたくないだろう。われわれは、そこをよくわかっている」(マーク氏)としており、第3者のエキスパートによる侵入テストを定期的に実施しているほか、今後はプライバシーの認証機構の監査を受けるという。どの機能もプライバシーに配慮して開発していきたいとした。

今後は付加機能で有料化

日本におけるクレジットカードカード利用率は12%という
日本におけるクレジットカードカード利用率は12%という

 では、なぜ日本を対象したのか?──そんな質問に対し、「日本に住んでいるから」とシンプルに答える。また、日本におけるクレジットカードの利用率は12%、現金は52%というデータがあったとし、今後もクレジットカードや電子マネーなどの利用率は伸びる可能性があると見る。

 また、クレジットカード会社と提携し、カード会社のユーザーに特典をつけるなど、カード会社の付加価値としてMoneytreeを利用してもらうことなども考えているという。

6月末にもグラフ機能を追加するという
6月末にもグラフ機能を追加するという

 現在のMoneytreeは無料のプランのみだが、今後はアドオンで有料機能の導入を検討中だ。「具体的にはまだ決まっていないが、例えばメールを使ってデータをPCなどに転送する機能の追加、会社の経費の立て替え管理、医療費の控除など。近日にグラフで一覧できる機能を追加するが、それは有料ではない。有料化はまだ検討中」(ポール氏)とした。有料化の時期は9月~10月ごろを予定しているという。

 Moneytreeは日本のためのサービスで、「海外を見据えるよりも、スタートアップだから、まずは日本で成功することに集中する」と語った。

 まずは入りやすいiOS版からスタートしたが、「今後は、ほかのプラットフォームでもつくりたいとは思っている」と明かす。もちろん次に狙うのはAndroid版アプリの開発だ。ただし、Androidのプラットフォームでは、PCと同等のセキュリティ環境だとして、ウィルスやマルウェアなどの心配もある。そこで、Android版では、一部の金融機関で採用されているような、ウェブサイト上のバーチャルキーボードを採用することを検討しているとしている。

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