米司法省とGoogleがマンハッタンで争っている新たな訴訟は、米連邦捜査官が捜査令状なしでユーザーの記録を入手できるプロセスについて、司法省が擁護する決意をどの程度まで固めているか、また、違法と見なす要求から顧客のプライバシー権を守ることについて、Googleがどれほど熱心に取り組んでいるかを窺うめったにない機会となった。
司法省による今回の訴訟は米国時間4月22日に提訴されたものだが、報じるのはこの記事が初めてだ。訴訟のきっかけは、ユーザーの機密データの提供を求める米連邦捜査局(FBI)の合法的な要請を、Googleがはねつけたことだった。焦点となっているのはFBIによる「国家安全保障書簡」(NSL)の利用で、これについては異論も多い。国家安全保障書簡とは、裁判所の許可がなくても機密の電子データを収集できる命令文書で、先ごろ別件の訴訟で違憲判決が出された。
米連邦地方裁判所のRichard Sullivan判事が今回のニューヨークにおける訴訟を担当し、非公開で裁判が行われてきたが、これまでのところ最終的な判断は下されていない。米CNETは5月31日朝にSullivan判事を補佐する裁判所事務員に問い合わせたが、まだ回答はない。
NSLの利用が論争を呼んでいるのは、受取人に守秘義務が課されるからだ。NSLを受け取った者がそのことを口外すると違法となる。国家安全保障上の捜査にのみ利用されるものであって日常的な犯罪捜査には用いられないとされており、1通のNSLで要求できるデータの量に上限はない。
裁判所の文書からは、FBIがGoogleの姿勢に苛立っていることが窺われる。
FBIのニューヨーク支局が4月22日にNSLを送付した直後、FBIはその日のうちにマンハッタンの連邦裁判所に「強制執行の申立書」を提出した。唐突で、間違いなく対外的配慮に欠けた行動であり、Googleによれば、NSLによる要求に応じたり、法的権利を行使して司法審査を求めたりする機会が与えられなかったという。
Googleはすでに、3月29日にカリフォルニア州で起こした訴訟においてNSLに対する異議申し立てを行っていたため、サンフランシスコのSusan Illston連邦地裁判事に、ニューヨークで発行されたNSLの取り消しを求めた。Illston判事はこの要求を退け、問題はニューヨークでの訴訟で「もっと正面から取り上げられる」と述べたが、必要な場合は自身がこの問題を再び扱うと付け加えた。
FBIとGoogleにコメントを求めたが、どちらからも回答はない(Illston判事が担当した訴訟は大部分が非公開で、裁判所の文書ではGoogleに関する記述に編集が加えられていたが、Bloombergは4月、最初に提出された書類を引用して、異議申し立てを行ったのがGoogleであることを明らかにした)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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