Tim Cook氏は米国時間5月28日夜に、Appleの業績や評判を擁護する一方で、ほかの話題については予想通り、あまり多くを語らなかった。中でも、発売が近いと考えられる、大きなうわさになっている製品については口を閉ざした。
カリフォルニア州パロスバーデスで開催されたAll Things Dカンファレンスのステージ上でのインタビューで、Cook氏は、Appleがそのクールな要素を失っているということは「絶対にない」と断言した。また、「Android」搭載端末の販売シェアのほうが高くなりAppleがモバイルOS戦争に負けつつあるという考え方をはねつけた。
「Appleにとって、勝つということがより多くの製品を作ることだったことはない。われわれは最も優れたスマートフォンを作るのであって、最も多くのスマートフォンを作るのではない」(Cook氏)
Cook氏はまた、司会を務めたWalt Mossberg氏とKara Swisher氏に向かって、Appleの最近の株価の動きには不満を感じていると語り、株価ではなく製品について話そうと提案した。しかし同氏は、うわさされている「Apple TV」の刷新や一般的に「iWatch」として知られているスマートウォッチといった、Appleウォッチャーの興味を最も集めている製品についてはコメントしなかった。
Cook氏は、AppleがApple TVデバイスを1300万台以上販売したと誇らしげに明らかにした。それらセットトップボックスの半分は、2012年に販売されている。しかし、Swisher氏からこの端末に対するAppleのビジョンについて詳しい話を求められると、Cook氏は素っ気なく「それには答えたくない」と述べた。
同氏はその後、この話題は終わりだと強調した。「この点についてはこれ以上話したくない。誰も考えていないようなアイデアを与えたくはない」(Cook氏)
Cook氏は、ウェアラブルコンピュータの話題についても、これが「非常に興味深く」、「詳しく調べるべき時期に来ている」分野であると述べ、同じようにうまく逃げた。
Cook氏は「多くの企業がこの分野に参入するだろう」と述べたが、そうした企業にAppleが含まれるのかどうかという質問には答えなかった。
しかしCook氏は、いくつかのちょっとした情報を聴衆に提供した。具体的には、Appleのデザイン責任者であるJony Ive氏が、新しい「iOS」の開発に参加してきたこと、そしてそのAPIはサードパーティーに多少は公開される予定だということを認めた。そして、進行中の変更点について詳しく話すことは拒んだが、6月のWorld Wide Developers Conference(WWDC)で、AppleはモバイルOSの、そして同時にデスクトップOSである「OS X」の「未来を発表する」予定だと表明した。
インタビューでは、租税回避の疑惑など、同社が直面している数多くの法的問題にも触れた。Cook氏は、同社が米財務省をだますために税制を悪用しているという話を否定し、「われわれは租税回避策を用いていない」と述べた。
Cook氏はまた、電子書籍の価格操作をめぐり間もなく開始予定の裁判で、同社による独占禁止法違反が申し立てられていることについて、そうした違反を否定し、政府と和解する予定は全くないと述べた。
「われわれがしていないことをしたと言うような和解案に署名することはない。われわれは戦うつもりだ」(Cook氏)
幅広い話題に触れたインタビューで明らかになった、ほかの小さな情報としては、同社が2012年10月以降、9社買収したという話もあった。ただし、同社はこうした買収について、法的に公表が必要なもの以外は公表してこなかった。
Appleは比較的小規模な企業を買収してきたが、膨大な現金を保有しているにもかかわらず、大規模な企業買収は行ってこなかった。Cook氏によると、同社は現時点では大規模な企業買収を検討していないが、その企業がAppleの文化と調和する製品を作っているのであれば、買収の可能性を排除することはないという。
Cook氏はまた、環境フットプリントへの取り組みの責任者として、米環境保護庁(EPA)の行政官だったLisa Jackson氏を採用したことを発表した。EPAの在職中、同氏は大気質や気候変動、水質の問題のほか、メキシコ湾で流出した原油の除去に注力していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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