スマホ時代、携帯販売店に求められること--ワイヤレスジャパン2013

 国内最大級のワイヤレス&モバイル技術とソリューションの展示会「ワイヤレスジャパン2013」が開幕した。5月29日~5月31日まで東京ビッグサイトで開催される。18回目となる2013年は5万5000人の来場者数を見込む。

  • 野村総合研究所の上席コンサルタントである北俊一氏

 初日となる5月29日には、野村総合研究所の上席コンサルタントである北俊一氏が「スマホ時代の携帯電話販売チャネルの在り方」と題する講演を実施。スマートフォンの本格普及で市場が大きく変化する中、携帯電話販売店が今後どのような取り組みを実施するべきかを指南した。

 北氏はまず、現在の携帯電話市場動向について説明。2013年度末で、M2Mを除いた携帯電話の利用は1億2000万に達する一方、スマートフォンの稼働数が6200万を超え、今年度中にもスマートフォンの稼働数が半数を超えるとの予測を示した。

 またスマートフォンの利用者層についても、2012年までは比較的若い20代が中心だったが、2013年に入ってからは30、40代の利用者も伸びており、着実に市場が広がっていると説明。キーボードが苦手な人でも扱いやすいスマートフォンやタブレットが普及することで、現在はあまり広がっていない50代以上のオンラインショッピングが今後活性化するとの見解も示した。

  • スマートフォン利用者は20代から、30~50代にも広がっている

スマホ普及で販売店の負担は増加

 スマートフォンの普及が進む一方で、仕組みが複雑になったことから販売代理店の現場スタッフにかかる負担は大きく増えており、「今後(負担が)増えることはあっても、減ることはないだろう」と北氏は予測。

 その理由として(1)スマートフォンが幅広い年代に浸透することによる操作・設定に関する相談の増加、(2)FacebookやLINEなどサードパーティー製アプリの浸透、(3)フィルタリングなど青少年のスマートフォン利用に関する問題の増加、(4)固定通信とモバイル通信を連携させた「auスマートバリュー」に代表されるサービスの高度化、の4つを上げた。

 ただし、こうした環境の変化がありながらも、携帯電話販売代理店における大きな構造変化が起きたケースは少ないという。過去に大きな変化があったのは、2007年末以降に各キャリアが分離プランを導入し、端末価格が大幅に上昇した際、複数キャリアの端末を扱う“併売店”が大幅に減少したことくらいだと、北氏は説明する。

  • 携帯電話販売チャネルの変化。スマートフォンの普及とともに再び大きな変化が起きる可能性を示唆

 しかし、今後はオンライン系の販売店が伸びてくることに加え、スマートフォンを新たに購入する“特需”があと2年程度で落ち着くと推測されることから、再び大きな変化が起きる可能性もあるとした。そのため販売代理店には今後、効率化を進めながらも、同時にスマートフォンに詳しいスタッフを揃える専門性が必要とされる。また、対象とする地域の顧客層にマッチしたサービスを提供するなど、より難しい運営が求められると予測した。

販売店に求められる「サポート」

 では今後、販売店はどのような取り組みを実施するべきか。北氏は参考事例として、栃木県にあるカメラ店「サトーカメラ」の取り組みを紹介。同社はデジタルカメラにいち早く対応したほか、スタッフの知識向上や顧客とのコミュニケーションを重視したことで、スマートフォン利用者のプリントニーズも取り込み、栃木県内のデジタルカメラ販売でシェア1位になったという。

  • 携帯電話販売店でも販売後のサポートが重要になると説明

 この事例を受けて北氏は「携帯電話ショップも携帯電話を売るだけでは生きていけない。カメラ1つとっても、ほとんどの人は設定しないまま使っている。綺麗に撮れるようアドバイスしただけでも、顧客が喜んで長く付き合ってくれるのではないか」とコメント。リアル、バーチャルの店舗を問わず、販売後のサポートがこれまで以上に重要になってくると強調した。

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