ネット選挙では「セキュリティ」が鍵--ヤフー別所氏

藤井涼 (編集部)2013年05月24日 09時00分
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 インターネットを活用した選挙運動を7月の参議院選挙から解禁する公職選挙法改正案が、4月19日の参院本会議で可決、成立した。これにより政党や政治家は、ウェブサイトやTwitter、Facebookなどを使って、これまでリーチできなかった国民にも情報を発信できるようになる。一方で、より一層求められるのが“情報の信頼性”の維持だ。

 ヤフーでは7月の参議院選挙に向けて、デジタルハーツとともに政治家のホームページなどの“のっとり”を防止するサービス「サイバーセキュリティサポート」を、5月13日から提供している。国会議員や政党を対象に、ウェブサイトのセキュリティホールの有無や脆弱性を調査。セキュリティに関する課題を抽出してレポートとして報告する。同日には衆議院議員会館で、ネット選挙運動にともなう脅威を説明するセキュリティ対策セミナーも実施した。

 ヤフーはこれまでにもさまざまな形で政治に携わってきた。2006年から「Yahoo!みんなの政治」を提供しているほか、2009年にはネット選挙運動解禁の是非についての署名運動を実施。2010年にはYahoo!みんなの政治で「個人政治献金サービス」を開始している。同社では、今回のネット選挙運動の解禁についてどう見ているのか。ヤフー執行役員 社長室長の別所直哉氏に聞いた。


ヤフー執行役員 社長室長の別所直哉氏

――ネット選挙運動が解禁されました。率直な感想を聞かせて下さい。

 ようやく解禁されたかという思いです。私たちは随分前から、ネットというツールは通信手段にすぎず、選挙運動期間に使えなくなってしまうのは望ましくないため、早く解禁してほしいとお願いしてきました。

 また、ネットの利用が広がっていく中で最も懸念していたのが、いま改正をしないと有権者の方が知らないうちに選挙違反を起こしてしまう可能性があるということです。たとえば選挙候補者が演説している様子を、有権者が手元のスマートフォンで撮影して、その動画をネット上にアップロードしてしまうことなどです。演説内容に良いコメントがあったりすると、あっという間にネット上に広がってしまうこともあると思います。

 投稿している本人は選挙運動という自覚はないのかもしれませんが、客観的に見るとそういう要素を備えていたりすることがあります。また、Twitter上で選挙違反となる誰かの発言を、第3者がリツイートしてしまうこともあると思います。そういったことを防ぐためにも、広く使われているツールで日常の使い方をしていて問題になるようなことはないように手当をしてほしいと訴えてきました。

 また候補者の方々も、ネットは選挙運動には使えないとよくご存じではありながら、開票後にウェブサイトにお礼の文章を掲載して後から慌てて削除したりといったことも指摘されているような状況でしたので、許容できるところについては早く対応していただきたいという思いがありました。

―― 一方で、ネットを利用しない有権者との情報の格差が生まれると懸念する声もあります。

 選挙運動に関して言うと、国民にとって直接的に政治に参加できる重要な機会ですので、できるだけ正しい情報を見ることができて、場合によっては意見交換をして自分の意思決定をすることは非常に大切だと思っています。そういう意味では、より多くの情報に接することが望ましいのですが、いまは紙という媒体に限られていて、かつ枚数も限られています。

 そうすると、自らその情報に到達できる人たちが限定されてしまうので、その状況がすでに偏っていると認識しています。ネットを使うことでその偏った状態から、少しでも多くの人が情報に接する方向に動いていけばいいと思います。ネットではリーチできない人たちはいるかもしれませんが、やはり今の状態がかなり偏りすぎているので、そこを早く是正するというのが、第一歩としては必要なのだと思います。

――サイバーセキュリティサポートの提供にあわせて、衆議院議員会館でセミナーを実施したそうですが、どのような狙いがあったのでしょうか。

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