米司法省と米連邦捜査局(FBI)が、米国人の電子メールのやり取り、Facebookのチャット、Twitterのダイレクトメッセージや、その他の非公開のファイル類の開示に捜査令状は必要ないと考えていることが、内部文書で明らかになった。
米国自由人権協会(ACLU)が入手して米CNETに提供した政府文書を見ると、電気通信におけるプライバシー権についてはObama政権内でも意見が割れていることがわかる。司法省の検事や捜査官は内部文書の中で、電子メールの開示を要求するのに捜査令状は法的に必要ではないと非公式に主張している。一方、米国税庁(IRS)は、電子メールのやりとりを令状なしに開示させられるとして議論を呼んだ方針について、4月にこれを撤回するとの意向を公にしている。
例えば、マンハッタン地区の検事が配布した内部文書には、召喚状(裁判官ではなく、検事が署名した文書)さえあれば、「ISP(インターネットサービスプロバイダー)から(ほとんど)すべての記録を」取得できると書かれている。また、ヒューストン地区の検事は最近、裁判官があらかじめ署名した令状を事前に得ることなく、あるISPから「保存された通信記録の内容」を取得したという。
これについて、プライバシーを専門とするACLU所属の弁護士Nathan Wessler氏は「さまざまな機関がプライバシー保護の方針をその場しのぎで決めているような、現在のつぎはぎだらけのシステムはもはや維持できない」と指摘している。オープンガバメントに関する法に従ってこの文書を入手した同氏は、「裁判所と議会が介入する必要がある」と述べている。
Apple、Google、Microsoftといった企業のサーバに保存された個人ファイルを入手する際に司法省が令状を求めようとしない態度は、令状なしに電子メールを閲覧することは合衆国憲法修正第4条違反だとの判断を示した2010年の米連邦控訴裁判所の判決以降も続いている。これまで未公開で、最新の更新がこの控訴審判決から2年半後とされるFBI文書には、現場の調査官は「召喚状を使って」、合衆国憲法修正第4条に「抵触することなく」、企業から電子メールの記録を入手できるとある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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