Adobe Systemsは米国時間5月6日、同社のソフトウェア「Creative Suite」(CS)の次期バージョンをリリースしない予定であることを発表した。月額50ドルで提供される「Creative Cloud」(CC)などのサブスクリプションプランへの移行に伴う措置で、同社の事業および顧客にとっては大幅な変更となる。
Creative Cloudの製品マーケティング担当シニアディレクターを務めるScott Morris氏は、「CSツールやスイートの新たな永続ライセンス版をリリースする予定は現時点ではない。今後はCreative Cloudのみに焦点を絞って注力していく」と述べた。
2012年にCreative Cloudのサブスクリプションを開始した際には、Adobe幹部らはこれをどれだけの期間、同社ソフトウェアの従来の永続ライセンス版の販売と並行して提供するか定めていない状態だった。しかし、Creative Cloudに対する顧客の反応は良く、ペースの遅いCS製品と並行して維持することが厄介だという問題も相まって、同社はサブスクリプションプランへの積極的な移行を決断した。
「数年でこれを実現する予定であった。しかし、Creative Cloudのこれまでの成功には驚いている」とMorris氏は述べた。「一部の顧客には難しい移行になると理解しているが、長期的には最良の動きになると思う」(Morris氏)
これは、顧客にとって大きな変更となるだけではない。この変更によってAdobeは、同社事業をより継続収益型のアプローチへと移行する。CS6のリリース時など、アップグレード時に収益が急増するのではなく、安定した収益が継続的に同社に入ることになる。
「そこには積み重ねによる効果が生じる。顧客を獲得すれば、その顧客はとどまる。新規顧客を獲得すれば、収益がさらに上乗せされる」とMorris氏は述べた。「継続収益は、長期的な観点からAdobeにとって好都合である。それがウォール街が非常に好意的に反応した理由の1つだ」(Morris氏)
同社はAdobe MAXカンファレンスにおいて、この変更を発表した。また、同社ソフトウェアのメジャーアップデートも発表された。「CS7」のロゴを冠するはずだったプログラムは今回、単に「CC」というブランド名になる。Adobeの新しいCCソフトウェアには、写真の手ぶれを一部補正可能なバージョンの「Photoshop」、マルチタッチ端末による要素編集が可能な「Illustrator」、Appleの「Retina」ディスプレイなど高解像度モニタをサポートする「InDesign」、「After Effects」の動画の特定領域を選択するための新しい「Refine Edge」ツールが含まれる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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