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クールジャパンを世界に発信する--経産省が手掛ける官民出資の新会社の狙い - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年05月01日 16時30分
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 現状、クール・ジャパンが海外に出ていくには(1)収益モデルの不透明感からくるクール・ジャパン関連企業への資金供給不足、(2)現地商業施設などの足がかりとなる拠点の不足、(3)情報やノウハウの不足――といった課題を解決しないといけません。

 ただ、一番大事なことは、こういった取組みによって海外でのビジネスモデルを構築し、人材を育成していくということです。2003年から2007年に存在していた産業再生機構のように、日本の知が集まって、プラクティスを形式知化する。そして組織が解散した後にはそこにいる人材が日本中、ひいては海外に出て行くということが重要になると考えています。

 具体的には、クール・ジャパン推進機構にて、財投特会(財政投融資特別会計)から500億円を出資し、あわせて民間からも出資を募る予定です。そして、20年の存続期間の中で、おもに民間企業や金融機関、民間のファンドなどで組織するプロジェクト会社等に対して出資してきます。

 投資対象については、最終的にこの機構のCEOやCOOらの判断になると思いますが、コンテンツ関連であれば、海外の商業施設やメディア・ネット空間、放送枠の獲得などを考えています。食であればフードコートやセントラルキッチンの獲得、ファンド・オブ・ファンズとして地域企業などに投資するということも検討しています。「ジャパンストリート」といった形で、日本のコンテンツや衣食住等が集まる空間 を構築することも検討できるのではないでしょうか。

 もちろん、事業の収益性や波及効果等を踏まえた支援基準については、現在どのような基準にするかも含め検討中ですが、基準を設ける予定です。

日本のアニメには、(表現によっては)海外でポルノ同様に扱われることで、ビジネスチャンスの可能性が狭まるものもあったということを聞いたことがあります。そういった点も含めて基準を設けないといけないでしょう。

--これらはいかに海外に出るかといういわば「外向き」の支援施策です。日本の中にあるコンテンツをいかに育てていくかという「内向き」の施策はどうなるのでしょうか。

 日本国内での企業の取組み自体が、法律上、出資対象外というわけではありません。例えば、海外の人達を呼ぶことができる事業を実施する企業なども出資対象として除外していません。

 単純なイベントだけを支援することは難しいかもしれません。ですが例として挙げるなら、ただ「コスプレイベントをやります」というだけでは支援が難しいでしょうが、「海外のファンを日本に呼び込むような世界規模のコスプレイベントを開催する。それを含めた事業展開」となると話は別であるということです。

--ファンドには民間からも出資を募るということですが、金額的にも官主導の側面が濃厚です。官主導だからこその強みについて教えて下さい。

 我々は最低限のことをやって、極力民間企業にやってもらうという考え方です。ですが、国が絡むことで加速化できることはあります。

 まず、国が事業を民間へ委託することになるので、民間事業者は国に委託報告書を提出します。これによって海外展開に関する戦略の共有ができます。民間であれば、成功したノウハウを共有することはしませんが、ここでは公共物として共有し、さまざまな方に形式知として残すことができます。

 また、国と民間で「どこの国にどういったものを提供するか」といった戦略を立てることができます。また、民間企業だけでは難しい規制についても――インドなどの事例のように――国レベルの折衝で緩和し、協力関係を結ぶことができます。

 ただ出資はワンオブゼムの施策です。官民が議論して、ハンズオンの経営者も入り、知見ができることこそが重要だと考えています。

--冒頭にクール・ジャパンにはITも含まれるという話がありました。IT業界への期待について教えて下さい。

 これまで、クール・ジャパン戦略推進事業で楽天やぐるなびを採択しましたが、IT企業に期待したいのは、リアルとネットをどう融合するかという点です。

 2011年に経済産業省が支援していたアパレルウェブというアパレルに特化したIT会社があります。同社はもともとアパレル関連の情報発信やコンサルティングをやっていました。

 通常、原宿などにあるアパレルブランドは、単体で海外に発信することが難しい状況にあります。そこで、原宿の複数のブランドが参加する形で期間限定のショップをシンガポールに出店しました。それとあわせてネットで情報を発信していきました

 シンガポールは日本ほど雑誌がありません。そこで彼らはネットメディアやブロガーなどとリレーションを作って行きました。リアルとネットを融合させる、そのハブになってもらうということは重要だと思っています。なんだかんだ言ってもリアルだけで売れる時代ではありません。そこをネットとつないでいってほしいと考えています。

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