Googleは4月17日、アジア圏の中小企業のデジタル分野における発展や成果を紹介するインターナショナルプレスコンファレンス「HelpingSmall Business Think Big」を、シンガポールオフィスで開催した。イベントには日本を含め、中国、韓国、マレーシア、インド、フィリピンなどアジア圏の13カ国のメディアが参加した。
イベントの冒頭では、Googleのアジア太平洋地域担当副社長であるKarim Temsamini(カリム・テムサマニ)氏が登壇。中小企業によるウェブの活用事例を交えつつ、アジア太平洋地域におけるスモールビジネスの重要性について語った。
Temsamini氏は、ウェブが今のように普及していなかった15年前を振り返り、当時は顧客との接触機会を持つには新聞やテレビへ高額な広告を出稿するしかなかったと話す。また、広告を掲載したとしてもターゲットに的確に訴求するのは難しかった。これがウェブ登場以後は、すべてのネットユーザーに対して非常に安価に広告を配信し、かつ効果測定も可能になったことから「あらゆる規模の企業にチャンスがある時代がきた」と語る。
また、アジア太平洋地域でのビジネスの約8割がスモールビジネスによって構成されていると語り、GDPの貢献度も非常に高いと説明する。コンサルティング企業のMcKinseyによると、アジア地域でのGDP全体のうち約5割を中小企業が担っている。また、ネットの普及率が高い国、たとえば日本や韓国などでは、より中小企業のGDPへの貢献度が高いという。通信環境などの整備によって今後は、特に中国やインドなどでの成長が期待できるとした。
どんなスモールビジネスでもウェブを活用することでビッグビジネスへと変化する――その最たる例として紹介されたのが、マレーシアの段ボールのカスタム製造業者である「Boxman」だ。Boxmanは、個人や企業の要望に合わせたサイズやデザインの段ボールを製造・販売する企業で、1点のみでも注文できるのが特徴だ。
同社はサービス開始当初はオフラインのみで営業活動をしていたが、売上げが見込めないことからグーグルの検索連動型広告「Google AdWords」を導入。その結果、翌日から次々とオーダーが入るようになった。BoxmanのProduct SpecialistであるAlvin Fong氏によると、2012年の売上げ総額は50万MYR(米18万ドル相当)で、そのほとんどがAdWords経由でのオーダーによるものだ。現在は、マレーシアのみならず他国からも引き合いがあり、海外展開も視野に入れているという。
Temsamini氏は、この他にもオーストラリアの酪農農家、東京のラーメン店、インドのフォーマルファッション事業者など、アジアの何百万もの中小企業が日々ウェブやグーグルの製品を活用していると説明。「アジアでは圧倒的に中小企業が活躍している」と語り、アジア地域でスモールビジネスを立ち上げるには、いまがまさに好機だと強調した。
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