淡路地震で活用されたFacebook--iSPPアンケート速報

別井貴志 (編集部)2013年04月16日 14時03分

 情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)は4月16日、緊急行動調査アンケートの結果を速報版として公表した。このアンケートは、4月13日早朝に淡路島を震源として発生した震度6弱の強い地震の際に、人々が必要とする情報をどのように受発信したかについて、インターネットを利用して調査した。4月15日までに得られた90名の回答を速報版としてまとめた(アンケートは継続中だがもうすぐ締め切り)。

  • 地震を体感して目覚めたかの問い

  • 地震を直接体感しなかった人が、地震について知った手段

  • 震源に近い地域にいた人からの連絡手段

  • 震源に近い人への連絡手段

 まず、アンケート回答者の88%は震源地から遠くにいて地震を体感しなかった。その地震を直接体感しなかった人が、地震について知った手段としては、テレビのニュースがもっとも多く、次いでFacebook、スマートフォンのアラート、アプリなどのプッシュ型配信サービスと続いた。iSPPでは、「家族や知人からの連絡は少なかったが、地震発生が早朝であったことと、被害を直接受ける可能性のある地域にいる人が少なかったことが関係しているものと思われる」と見ている。

 地震発生後に、震源に近い地域にいた家族や知人から連絡を受けたと回答した人は、全体の半数以上の36名で、その手段としては、Facebookがもっとも多く、携帯電話メールがこれに続いた。また、地震発生後に、震源に近い地域にいた家族ないし知人に連絡をとったと回答した人は44名で、その手段もFacebookと携帯メールが多かった。

 さらに、地震に際して役に立った情報手段としては、Facebookとの回答がもっとも多く、テレビのニュースがこれに続いた。iSPPでは「携帯電話によるメールや通話が少なかったのは、早朝によることが大きかったためと思われる。ただし、震源地に近い所では、地震発生直後は携帯電話がつながりにくかったと伝えられており、その影響もあったものとみられる」とした。

 今回の速報版の結果についてiSPPは、「全般にはFacebookや携帯電話メールなどで連絡を取り合う傾向が高かったことがうかがわれた」とし、その理由としては、「地震発生が5時33分と早朝であったことから、リアルタイムで直接連絡をとるよりも、相手を起こさないで済む手段を選択したと推定される」と総括している。ただし、「今回の調査はインターネット、特にFacebookなどで呼びかけたことから、回答者の母集団のネット、Facebookの利用度が高いことの偏りも否定できない」と付け加えている。

 この一方で、iSPPの共同代表理事である松崎太亮氏は、地震発生の翌日である4月14日に、震源に近いところで実際に情報の空白地帯の状況がどのようであったかどうかを把握するために、淡路市を訪問した。松崎氏は以下の通りコメントしている。

 当初情報の沈黙の地帯は淡路市西側かと予想したのですが、被害は東側に比べて少なかったようです。断層によって被害の差が大きかったのは18年前の阪神淡路大震災の時と同じです。
 淡路市西側は、小さな集落で高齢者が多く、近所同士で無事を確認した以外は情報の発信は特にしなかったとのことでした。
 淡路市に住む幾人かの外国人の知人も、家族や知人にFacebookで無事を知らせたとのことでした。Facebookなら一度で皆に連絡取れる点で便利だと言っていました。
 今回のように情報途絶がない中でのSNS発信は、自分の周辺が落ち着いた数時間後になされたようです。阪神淡路の際もそうでしたが、当初空撮で神戸市長田区の火災状況が繰り返し報道されると、神戸全体が燃えたのかという印象を与えたようで、災害対策本部にも多くの問合せがありました。
 今回も空撮で淡路島東側の洲本市の旧家の瓦がずれ落ちた様子を繰り返して放映されると、それ以外の地域は情報の空白が生じているのではないかという錯覚に陥りました。真に被害が大きくて沈黙しているかどうかの判断は、メディアの報道によってイメージが随分変えられてしまうのは今回も同じでした。
 被害地域の各自が、自己発信して皆で全容を把握すること、即ち「災害情報リテラシー」とでもいうような情報収集判断力を養う必要があるのではないかと感じました。

 iSPPは、2011年の東日本大震災を契機に、情報通信技術(ICT)を活用した支援活動を行うことを目的に設立された。今回のアンケートは今後も想定される地震などの災害の際に、とくに重要と思われる被災地における状況の迅速かつ的確な把握、「情報の空白地帯」の発生を最小限にするための実践的な指針を得るための材料として役立てられないかとの狙いで実施した。

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