「LINE」新体制の狙い--「第2章の幕開け」 - (page 3)

 舛田氏:これまでも同じメッセージを出させていただいていますが、LINEはまさに投資フェーズなんですね。マネタイズということに完全にシフトするのは我々として本意ではないので、より大きなプラットフォームにするために、引き続きサービスを作っていきます。ユーザー数もまだ1億ちょっとですので、そこにはどんどんコストをかけていくつもりです。それは人の面でもマーケティングの面でもそうですが、引き続き投資フェーズというところではあります。

 ただし、一切マネタイズをしないというわけではなく、マネタイズのチャンスがありユーザーもパートナー企業にも価値があることであれば積極的に試していくと思いますし、そこで結果が出れば日本のみならず世界にも展開していきたいと思います。

――2013年はグローバル化も進めていくそうですが、新体制によって変わることはありますか。

 森川氏:海外事業を担う新会社としてLINE PLUSを設けたので、メッセージとしてはより分かりやすくなりましたね。これまでは一部、韓国からも手伝ってもらったりバタバタとしていましたが、専任の部隊ができて彼らが世界を飛び回っているので、我々も安心して事業を展開できる状況になりました。また現地の方にとっても安心感があるのではないでしょうか。いまはより現地化を進めていまして、現地に詳しい人を採用してその中で新しいサービスも検討したりしています。ですので、今年はより早いスピードでグローバル展開ができるのではないかと思っています。

 舛田氏:我々はもともと韓国(NHN Corporation)のグローバル展開における一法人だったのですが、今度は我々がグローバル展開をする立場になりました。その中で思うのは、我々がこのような形で成長できたのはローカライズが大きかったということです。ですので、欧米などではもう少し先のフェーズかもしれませんが、我々はグローバル展開とローカライズを同時に進めていこうと思っています。主要国についてはすでに人を送って拠点を作り、現地の声を聞いたり、パートナーの皆さんとリレーションを進めている状況です。

――米国や中国市場にも攻勢をかけるとあえて宣言していましたが、やはりこの2国は強敵なのでしょうか。

 舛田氏:メインディッシュみたいなものですね(笑)。難しさはそれぞれ違うと思いますが、どうやってそこに対してアプローチをするかは、いまでもいろいろなことを進めていますので、どこでヒットするかはタイミングですね。いまはそれよりも欧州や南米だったり、東アジアの国々の中でまだまだアップさせないといけない国があるので、それらに注力しているところですね。

――安全安心に向けた取り組みについても聞かせて下さい。最近はLINEを悪用した事件なども起きています。

  • 学生向けページ「LINE 安心安全ガイド」なども公開している

 舛田氏:対策は粛々と進めさせていただいています。たとえば未成年のID検索を制限したり、通報機能を設けたりしています。またご要請いただいた全国の学校の生徒や教員の皆さんに、フェイス トゥ フェイスでLINEやSNSの安全な使い方をご説明するといった啓蒙活動も行っています。あとは皆さんが問題視されていた掲示板アプリについても、グーグルのご協力のもとかなり削除されてきています。まだゼロというわけではありませんが、限りなくゼロにするという強い意志をもって進めています。

 さらに先日、個人情報関連サービスの内部統制管理システムの国際認証3種を世界で初めて同時に取得しました。ユーザーの心理として自分が使っているツールがこれだけ大きくなったけれど安全なのだろうかと思うこともあると思います。そこは日本だけでなく世界の皆さまに対して、我々はきちんと皆さまの情報をこういったレベルで守っていますよ、ということを声明として出させていただいたということですね。

――最後に新体制の意気込みをお願いします。

 森川氏:今回分社化したことで、改めてLINEで世界でナンバーワンになりたいと思いました。これまでもハイスピードで成長してきましたが、より早いスピードで質の高いサービスを提供していきたいですね。

 舛田氏:我々ができることは早さだと思います。早さを維持するため、また加速するために分社化という手法をとりましたし、よりユーザーに分かりやすいようにLINEという会社名にしました。皆さんもいろいろなご意見をお持ちかと思います。たとえば会社名がLINEになることで、これまでNHN Japanの持っていたある種の“ビックリ箱”のような、次に何をしてくるか分からない、どんなサービスを出してくるか分からないといった側面が失われてしまうのではないかとご心配いただく声もあります。ですが、LINEのブランドだけになるわけではありませんので、今後もさまざまなサービスを展開していきます。その中で我々が使命としている「ナンバーワンサービスを作る」ということと「世界を驚かせるサービスを作る」ということを引き続きやっていきたいと思います。今回はその第2章の幕開けだと考えています。

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