パナソニックは3月28日、2013年度事業方針説明会を開催し、2015年度までの中期経営計画を発表した。代表取締役社長の津賀一宏氏が、成長戦略の柱と位置づける車載、住宅事業に対する取り組みと、テレビ、携帯電話など赤字事業の今後について説明した。
あわせて、パナソニック ロジスティクスの株式を日本通運に一部譲渡することや取締役人事に関するニュースリリースを配布。6月26日付で、現代表取締役会長の大坪文雄氏が特別顧問に、現代表取締役副社長ソリューション担当、エコソリューションズ社社長の長榮周作氏が代表取締役会長に就任する旨が発表された。
会見冒頭に発表されたパナソニックグループの経営目標は2013年度に純利益500億円以上、フリーキャッシュフロー2000億円以上、2015年度は営業利益3500億円以上、フリーキャッシュフロー累計6000億円以上。赤字事業の止血、各事業部5%以上への収益改善などを実施することで、2015年度の営業利益3500億円を目指す。
中期重点施策としては
の4つが打ち出された。
赤字事業としてはテレビ、半導体、携帯電話、回路基板、光事業(ドライブ・ピック)の5事業が挙げられた。中でも2011年度2100億円の赤字を計上しているテレビ事業は、パネル構造改革、非テレビ推進、セット固定費削減などにより2012年度は860億円へと赤字幅を縮小する見通し。
プラズマテレビの撤退報道に関しては「事業から撤退するのは本当に最後の判断になると思う。テレビについては2015年度には何とか赤字を解消する方針を打ち出している。事業から撤退したら赤字は消えるが、そうではなく、中期経営計画は事業を継続する努力をしながら赤字を消すという表明。携帯電話についても同様で、安易な選択肢を我々は基本的に取らない。赤字の垂れ流しをやめることを明確に表明している」と姿勢を明らかにした。
このほか、半導体については、システムLSIを富士通と事業統合することで基本合意に達したと2月7日に発表しており、転地、アセットライト化とともに進めていくとのこと。携帯電話に対しては、BtoB事業への転地、BtoC開発効率化などを打ち出していく。これら5事業の赤字事業止血に関する構造改革費用は2013~2014年度で約2500億円としている。
一方、成長戦略の柱として紹介されたのが車載事業と住宅産業の2つ。両事業ともにパナソニックが今まで培ってきた強みを生かして取り組んで行くとのこと。
「2011年までオートモーティブシステムズ社の社長を務めて感じたことは、車載事業のポテンシャルは大きいが、事業部、ドメインなどのカベを乗り越えなければ、オールパナソニックとしてのポテンシャルは示せないということ。車載事業拡大に向けて、全社のリソースを集中投入する」とした。
住宅産業については、エコと快適を両立する新たなモデルとしてパナホーム「カサート・エコ・コルディス」を同日に発表した。屋根一面にソーラーパネル「HIT」を搭載し、「スマートHEMS」も推進していく。加えてウォールビジョンや建材一体型照明といった家電の「壁化」も手がけていく。
パナソニックでは、車載、住宅の両事業において2018年に2兆円事業を目指す。
社内構造としては、現在88あるビジネスユニットを4月1日に49事業部へと再編。事業部制を導入した上で、アプライアンス社、エコソリューションズ社、AVCネットワーク社、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社と4カンパニー制を敷く。
「LED、空調、ディスプレイなど強いデバイスは、あらゆる空間に展開する『Everywhere!』をキーワードに展開を加速していく。例えばLEDは照明だけでなく車のヘッドライトに、ディスプレイは大画面テレビだけではなく車載用やサイネージにと、コアデバイスをあらゆる空間に広げていく」と今後の展開を見据える。
新しいパナソニックに向けて新たに示されたキーワードは「CROSS VALUE INNOVATION」。コアデバイスや事業を掛け合わせる中で、価値を創出していきたいとした。
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