Samsung Telecommunications Americaのマーケティング担当ディレクターで、発表イベントのメインの講演者だったRyan Bidan氏はイベントの合間に米CNETに対して、「われわれはサムスンの体験について話したいと考えていた。Androidは重要だが、今回の話の主旨は、同OSに関連があるとは思わなかった」と述べた。
確かに、サムスンは話題をAndroidから逸らして、同社自身のブランドに誘導しようとしている。
McCourt氏は調査に関する文書の中で、「(サムスンは)『iPhone』ユーザーが享受するサービスの多くを複製しようとしている。そして一見したところ、Googleのサービスとの関係を絶とうとしているようだ」と書いた。
サムスンは自社のブランド強化に積極的に取り組む意欲を見せている。一部報道によると、同社は2012年、全世界でマーケティングに110億ドルを投じたという。Kantar Mediaによれば、同社の2012年のマーケティング予算は米国だけでも、HTCとBlackBerry、およびNokiaの予算を合計した金額の4倍以上だという。
サムスンはそうした積極的な姿勢によって、消費者がAndroidデバイスではなく、サムスンのスマートフォンおよびタブレットをほしがるようになることを望んでいる可能性が高い。それすれば今度は、GALAXY S IVに最新バージョンのAndroidが搭載されているかどうか(「Key Lime Pie」が5月に登場したら、そうなるかもしれない)ということがさらに話題に上らなくなり、利用可能なサムスンのサービス群のほうがもっと話題になるだろう。
もしサムスンが最終的に、「Tizen」のような自社でもっと管理できるOSに移行すれば、事態は今よりもはるかに単純になるだろう。
Tizenは、既に開発が終了したNokiaの「MeeGo」やLiMo Foundationの「LiMo Platform」など、失敗に終わったさまざまなOSを組み合わせて作られたライバルのオープンプラットフォームで、サムスンとIntelによって市場への展開が進められている。支持者たちは今回、フランケンシュタインの怪物のような同OSがついに成功を収めることを期待している。
最初のTizen携帯電話は2013年中に登場する予定だ。そして、フランスのOrangeを含む複数の通信キャリアがTizenデバイスを販売すると明言している。米国では、Sprint NextelがTizenを支援する業界団体に参加しているが、まだTizen携帯電話の販売を明言してはいない。
一方、サムスンは全力を挙げてTizen携帯電話を支援しており、幹部の1人はTizen携帯電話をGALAXY S IVや次期「GALAXY Note」と並ぶ2013年のフラッグシップデバイスと位置付けている。Orangeは既に、Tizenをよりハイエンドなデバイス向けのプラットフォームと見なしていると述べている。
サムスンは、2012年に関心の対象をソフトウェアに移し、大勢のソフトウェアエンジニアを雇ってきたが、自らがソフトウェア企業になれるということをまだ証明できていない。しかし、Tizenによって、同社は通信キャリアやそのほかのベンダー各社からの支持が拡大している新興OSを手に入れた。それをサムスンのマーケティング力と組み合わせれば、強大な勢力になる。
その勢力は、サムスンとGoogleの力強い関係に幕を下ろすものとなるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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