TEDでは毎回、来場者にギフトバッグが配られるのが好例となっている。今年のギフトバッグは米国大手小売りチェーンのターゲットがデザインした縦型の3ウェイバッグが用意されていた。中袋はPCケースとして取り出すこともできる仕組み。また、そこの部分はジッパーで取り外してポーチとしても利用できる。
ギフトバッグのポーチの部分は5色あり、色によってテーマが決められており、追加のギフトの中身も異なっている。どれも魅力的なパッケージなので、悩む参加者も多かった(その分、登録の行列が長くなってしまうのだが)。
用意されているテーマは「Creative」(黒)、「Explorer」(青)、「Foodie」(緑)、「Philanthoropist」(黄色)、そして「Techie」(黄緑)。どれも、セッションのテーマに関連したり、社会問題を想起させる分類であるが、このセレクトの中に「食」というテーマが入っている点は印象的だった。
カバンを開けると、ぬいぐるみが入っていてびっくりしたが、花の宅配といったサービスのギフトチケットや、会場で何度も水を注ぎ足してくれるウォーターボトル「S'well」、素材の糸のトレーサビリティに対応する「Icebreaker」のTシャツ、そして、これは開催地のロングビーチらしいが、日焼け止めセットなどが入っていた。テクノロジー系では、Microsoft Office 365 Home Premiumや、書籍の要約サービス「Get Abstracted」の購読チケット、コーヒーの定期購読の「Craft Coffee」の1カ月無料お試しチケットなど。
なお、筆者は「Creative」を選んでみたが、3カ月間劇場で映画が見放題になるMoviePass、金属板とゴムを使った財布、そしてInstagramの写真でiPhoneケースが作れるCastagramが入っていた。「Philanthoropist」にはフラットシューズが、「Techie」にはQuirkyの形が変えられる電源タップが入っているなど、テーマに合わせたオプションも楽しめたようだ。
様々な企業が、こぞってカバンの中に自社製品やサービスの紹介となるギフトコードが入っているチケットを入れるなど、「TEDのギフトになること」でTED参加者に自社サービスを知ってもらうチャンスになる、ととらえているように見える。
しかも、ただの宣伝ではなく、それぞれのプロダクトには必ずカードが付けられており、自分たちが何をやっているのか、アイデアやデザイン、社会に対して、どんなアドバンテージを提供しているのか、といったメッセージが添えられている。
また明日以降紹介していくが、ギフトバッグだけでなく、会場内には様々な展示やファシリティを企業がサポートしており、企業がどのように考えて、なぜTEDに関わるのかというメッセージがパンフレットのパートナーページに企業ロゴとともに書かれているのだ。
例えばインテルは「イノベーションによって社会問題の斬新な解決を可能にする」と語り、ソニーは4Kテレビによって「何でもイメージでき、現実にできる」と呼びかけ、コカ・コーラは「環境負荷を減らし、健康的で安全な暮らしを作り、コミュニティの経済発展を進める」と宣言する。環境問題の矢面に立つ石油会社シェルは、シンプルに1行で「我々は、耳を傾け、共有し、学ぶために来ている」と謙虚さを見せる。
単なる広告、協賛、ではなく、企業そのものの取り組みや、なぜTEDに参加するのか、TEDでどんな支援に貢献するのか、といった説明をきちんと伝え、知ってもらうことを丁寧に、そして徹底している点が非常に印象的だった。
TED自体は、高額なチケットで限られた人の目に触れる場かもしれないが、世界を代表する人たちが集まり、また社会活動に取り組む人たちの目に触れ、インターネットを通じて世界中の人たちが見つめる場でもある。企業にとって、非常に価値のある「アウトリーチ」の場であることを、改めて感じることができた。
1年ぶりのロングビーチでのTED Conferenceに、久しぶりの再会を楽しむべく開催されたWelcome Partyはロングビーチにある水族館で盛大に行われた。魚や大きなクラゲが泳いでいる脇で料理とワインを楽しむ風景も珍しいものだったが、TEDの会場以上に、スピーカーや、各界の大物に気軽に声をかけるチャンスも多かった。
初日のプログラムは軽いものだったが、2日目は朝7時からジョギング(もちろん希望参加)、8時半からイベントが用意されている。いよいよ、セッションの本編もスタートする。ロングビーチからレポートをお届けする。
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