米国時間2013年2月25日から、カリフォルニア州ロングビーチで、年に1回のイベント「TED Conferecne 2013」が開幕した。5日間、世界中から集まる「英智」の祭典を、レポートする。
初日は、まだ本編となるセッションは開始されず、TED FellowのスピーチやTEDについての紹介、夜の水族館でのウェルカムパーティーなどが行われた。
メインの会場となるLong Beach Performing Arts Centerには、様々な企業によるテントが立てられ、またエントランスまで長いレッドカーペットが敷かれ、参加者がくつろぎながら会話ができるスペースがたくさん用意されていた。各所にスピーチの中継用のテレビが置かれ、メインステージの外でもリアルタイムにスピーチを聞くことができるようになっている。
TEDには毎年参加している顔なじみからボランティアまで、世界各国から集まりながらも身近なコミュニティの雰囲気がある、不思議な空間だった。今年のスピーカーはメインステージでのリハーサルに取り組んでいたが、過去のスピーカーも初日から参加しており、TED Talkのビデオでスピーチを聞いたことがある人がすぐ隣にいることもあるからついつい緊張してしまう。
早速、初日の様子をお伝えしていこう。
初日の夕方のセッションは「Inside TED」というタイトルで、TED(テド)の活動について紹介されていた。そこで、まずはこのセッションをふり返りながら最新の情報とともにTEDにおさらいしていこう。
TEDはリチャード・ソール・ワーマンとハリー・マークスによって1984年に設立され、1990年から毎年カンファレンスが開かれるようになった。例年カリフォルニア州モントレーで開催されてきたが、1993年には日本の神戸で開催された。ここ4年間は、今年の舞台ともなっているロングビーチで開催されている。
TEDは「テクノロジー」「エンターテインメント」「デザイン」の略で、学術、技術、アートなどの世界中の様々なジャンルから、毎年70人ほどのスピーカーを招いて、12分から18分のスピーチに耳を傾けるというスタイルが貫かれている。今年も、12のセッションが用意されており、スピーチの中身だけでなく、どのようなテーマが集められているのか、にも注目していきたい。
TEDに参加するためのチケットは7500ドル(約70万円)と非常に高額であることも知られている。これらの入場料と、会費、そしてたくさんのスポンサー企業からの支援によって、イベント運営が行われているほか、TED Prizeの表彰、TED Fellowによる活動支援、インターネットでTED Talk(スピーチのビデオ)を見られるようにする活動などを展開。特にTED Talkのビデオは、より広く一般の人にTEDの存在を伝える役割を果たしており、2012年には10億回もの再生数を数えている。
TEDのタグラインには「Ideas worth spreading」(広める価値があるアイディア)が付けられており、この精神に則って、TEDにライセンスされたイベント「TEDx」は世界中で開催されている。2012年には、5600を越えるイベントが開催された。先進国だけでなく開発国での開催も活発で、イラク・バグダッドで開催されたTEDxイベントは「母国をいかに助けるか」という具体的なアクションへ向けた知が集められており印象的だった。
ちなみに、世界で初めて開催されたTEDxイベントは、2009年のTEDxTokyo。初開催の国でも、他のイベントと同様に多くのボランティアによって主催・運営され、日本国内でもその数は年々増え続けている。
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