ソニーは2月7日、2013年3月期第3四半期(2012年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は1兆9480億円(前年同期比7%増)、営業利益は464億円(同917億円の損失)となった。液晶テレビ、コンパクトデジタルカメラなど、エレクトロニクス製品の販売状況は厳しい結果となったが、映画、音楽、金融分野が好調に推移したほか、100%子会社化したソニーモバイルの連結による影響、円安の進行などにより、営業黒字を確保した。税引き前利益は294億円(同1059億円の損失)、当期純損失は108億円(同1590億円の損失)となり、赤字幅も改善している。
第3四半期累計(2012年4~12月)では、売上高5兆678億円(前年同期比3.6%増)、営業利益は829億円(同658億円の損失)、税引き前利益は584億円(同827億円の損失)、当期純損失は508億円(同2014億円の損失)となった。
好調に推移したのはソニーモバイルの100%子会社化により連結された影響で売上高が前年同期比94.4%増の3188億円となったモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野、「007 スカイフォール」などのヒット作を生み出した映画分野、ソニー生命の増収により伸長した金融分野など。一方、液晶テレビの販売台数が減少したホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野、ハード、ソフトともに減収となったゲーム分野は苦戦を強いられた。
ソニー執行役 EVP CFOの加藤優氏は「第3四半期は増収増益とかなりの改善効果があったと認識している。しかしエレクトロニクス事業の環境は楽観できない。今回も液晶テレビ(11月見通し1450万台から1350万台)、コンパクトデジタルカメラ(同1600万台から1500万台)など、いくつかの製品の年間売り上げ台数は見込みを下げており、金融、エンタテインメントが好調な一方、エレクトロニクス事業は課題を残している」と問題点を浮き彫りにした。
ただし、収益改善プランに取り組む液晶テレビに関しては「2011年度の赤字1600億円から2012年度は赤字幅を半分にする計画で、着実に達成できる見込み。販売台数は減少しているが、価格競争に入ると損に結びつくので、(台数減は)無益な戦いはやらないという意味もある」と構造改革が順調に進んでいることを表明。続けて「コストダウンや固定費削減は引き続き継続するが、2013年度は広色域や色再現力の高いテレビ、4Kテレビなど、商品力の強化に取り組み、収益改善に向けて邁進したい」と来年度の取り組みを示した。
今回黒字化に大きく寄与したソニーモバイルコミュニケーションズについては「ソニーが持てる技術のすべてをつぎ込んだ意欲的商品。大変好評いただいている」と「XperiaZ」を紹介。子会社化後、組織の立て直し、構造改革、商品力強化と施策を打ってきた結果を裏付ける業績となったようだ。
金融など2012年11月時点の想定を上回る好調さを見せている分野があるものの、エレクトロニクス分野だけを見ると売上高は前年並み。こうしたことからも2013年3月期の通期の連結業績は売上高6兆6000億円、営業利益1300億円、税引き前利益1500億円、当期純利益200億円と、前回の見通しを据え置いた。
また、円安ついては「大変追い風になっている。第4四半期への影響はさほど大きくないが、2013年1年間が今のような為替レートで続くと仮定すれば収益的には改善効果に寄与すると感じている」とコメントした。
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