亀山氏:15億円のファンドは、100%自社の資金でやっています。だから自分たちのシナジーだけを考えて動けばいいのです。なので、種田たちがスタートアップを連れてきて、モノを作ってもらう。それだけで(グループのシナジーという点では)成果としては成立しているんです。
そこから上場させる、キャピタルゲインを得るというのは別の次元の話です。これは事務方がやってくれればいいと考えています。
種田氏:3~4年前から、gumiやポケラボといった会社にゲームの開発をお願いしていました。先日もポケラボがグリーに買収されましたが、我々がご一緒させて頂いた会社が、後日うまくいっているというケースが比較的多いということがありました。ですが先ほどの話のとおり、我々はあくまで制作費を渡すだけです。そこを何とかしたいという思いがありました。
そこに亀山の思いと、経営企画セクションからも「投資事業をやりたい」という話が合致したので、このタイミングで立ち上げられたと思います。
亀山氏:僕はモノを作ってきた人間で、そもそもファンド運用は得意ではありません。ですが、「人に賭けてきた」という意味では同じことをやってきました。
ですので、ファンドの話を聞いたときに、「明日にでも次のスタートアップは生まれてくる。すぐにでもやろう」となりました。テレビ局としては、一番スタートアップと事業を展開してきているのもフジテレビです。
種田氏:今までは(LPとして)ベンチャーキャピタルへの出資を提案しても、会社の稟議に通りませんでした。それが2012年の2月頃に、FMHでも同じような思いを持っている人がいるという話を聞き、一緒にやろうとなりました。
亀山氏:平均して1社2000万円くらい出すよう考えています。現時点では5年で15億円の出資をする計画です。ファンドの運用期間に関しては10年くらいを考えています。
投資分野に関しては、まだ会社ができたばかりということもあるのですが、個人的にはスマートフォン、タブレットという流れがあるので、まずはそこだろうと考えています。
ただし僕らはテレビ局の人間です。スマートテレビなど本業とかかわることも懸案事項としてやっていかないといけません。
また、独自路線を考えている企業、「なるほどその手があったか」ということを教えてくれるような人たちに投資したいという思いはあります。
キャピタルゲインについてどう考えるかということですが、ファンドもすべて自分たちでやっていますし、制作依頼もするので、制作したゲームの売上だってゲインになります。そういった点をトータルで考えればいいと思っています。
亀山氏:そうですね。投資委員は8人の社員ですが、フジテレビの社員全員が面白い会社を見つけて連れてくればいいと思っています。その代わり「ずっと(その会社を)フォローしてくれ」とは言っています。
それが「そこまでやれるなら(グループの不動産会社である)サンケイビルのテナント全部にサービスを入れる」なんて話にだってなってくればいい。もっと言えば、現在FMHではデジタル事業セグメントの専門子会社がありません。ゆくゆくは必要だと考えているので、そこに入ってくれればいいとも考えています。そんなことを狙って来てくれるくらいのほうがいいと思っています。「なるほど、(グループのラジオ局である)ニッポン放送をそう使いたいのか!」なんてなると楽しいですね。
亀山氏:特にアジア圏には門戸を開きたいと思っています。まだ具体的な話があるわけではないのですが、国内に限定する必要もないと考えています。重要なのは、その国でどんな仕組みを作れば何ができるのか、ということです。
日本のテレビ局は、今まで国内だけに目を向けていればよかったので、実は日本以外のいろいろな情報に対してものすごく遅れているということがあります。フジ・スタートアップ・ベンチャーズによって、海外の地上波やケーブルテレビといった放送メディア以外でも僕らの番組を露出したり、それに付帯するサービス、グッズも展開できればいいと思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス