服の画像を組み合わせてコーディネートを作成できるサービス「iQON」を運営するVASILYは2月4日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)、GMO VenturePartnersを割当先とする第三者割当増資を発表した。またこれにともない、GCP パートナーの今野穣氏が社外取締役に就任する。
今回、シリーズBとなるラウンドで調達した金額は総額で3億円、ITVとGMO Venture Partnersは2011年5月に実施したシリーズA調達ラウンド(総額1億4000万円)に引き続いての参加となる。
2010年4月のサービス開始からこれまでに作成されたコーディネート数は30万件に到達し、ユーザーアクティビティを示す「お気に入り登録数」は毎月100万回を越える。また、iQONで発見したファッションアイテムは参照元のECサイトで購入することができ、iQON経由による販売額が月間2000万円を越えるショップも現れるなど、ファッション系ECへの導線としての期待が高まっている。
シリーズAでの調達から約1年半、iQONはどのような戦略で今回のラウンドを迎えたのか。ITV プリンシパルの河野純一郎氏は「最初に取り組んだのは徹底的にユーザー視線でサービスをよくすることでした」と振り返る。
最初の増資が実施されたころのiQONの従業員は6人、登録している会員登録数(主にコーディネートを作るユーザー)は数千人ほど。当時からVASILY代表取締役の金山裕樹氏はユーザーの数よりも「継続」に注目しており、たとえば「ログインして使う人だったり、ユーザーが使い続けていることを示す数字を探して追いかけた」(金山氏)そうだ。
そして2012年2月に大きな転機が訪れる。iOS向けアプリのリリースだ。しかしこれも当初は疑問符がついていたのだという。「PCウェブをメインに考えていたとき、自分たちは画面も大きいしこっちの方がコーディネートしやすいだろうと勝手に思いこんでいた。スマートフォンみたいな小さな画面で何もできないだろうと」(河野氏)。
だが予想に反してアプリ版は結果を出す。ウェブ版で1年半かかった1万コーディネートを2週間で達成。投稿数が20倍に跳ね上がるなど、手応えを感じた金山氏は「使いにくいとかそういうことじゃない。サービス側はそれを乗り越えられるようにするだけ」という点に気がついたという。
こうして当初わずかだった会員登録者数は10万人を越え、重要な指標となるコーディネート数は20倍、ユーザーのアクティブ率や購買してくれるユーザー数も10倍と順調に成長した。
そして今回シリーズBを迎え、新たに経営陣に参加する今野氏が注目するのは、新しい「ファッションディスカバリー」の方法だという。「今のECでファッションを考えたとき、どうしてもキーワードによる検索は無理がある。これからやってくるスマートフォン×ECというアプローチの先にiQONがあった。これでファッションアイテムの感性的な探し方ができる」と可能性を語る。
人がファッションに関して探したり、買ったり、楽しんだりするとき、かならず「iQONする」という世界を作りたい――そう語る新しい経営陣の面々。常にサービスを使い、何か気がついたら週一回の全体ミーティングで共有し、2週間の開発サイクルでひたすら改善を続ける。オフィスもこういったコミュニケーションが取りやすいように設計されているのだそうだ。
これまではサービスの開発に集中してきたVASILY。今後は営業やマーケティングを強化して50人体制を構築するとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス