パナソニックは2月1日、2013年3月期第3四半期(2012年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比8%減の1兆8015億円になったものの、営業利益は346億円と黒字を確保した。薄型テレビ、BDレコーダーなどのデジタルコンシューマ製品の市況悪化などが響いたが、固定費削減の取り組みなどが奏功し、営業利益が改善した。これにより税引前利益は93億円、当期純利益は614億円といずれも黒字化している。
第3四半期累計(2012年4月~12月)では、売上高5兆4397億円(前年同期比9%減)、営業利益は同3倍の1220億円。税引き前損失は2694億円、当期純損失は6238億円と第2四半期から赤字幅も縮小した。
常務取締役の河井英明氏は「固定費の圧縮、材料合理化・価格低下に加え円安に転じた為替が30億円程度あり、前年同期比に比べ427億円改善した」と今期の営業利益黒字化について分析した。
セグメント別では、薄型テレビ、BDレコーダー、デジタルカメラと需要が大きく落ち込んだAVCネットワーク、中国市場での販売減が影響し、エアコンなどが振るわなかったアプライアンスジャンルなどが落ち込みを見せた。加えて携帯電話が低迷したシステムコミュニケーションズは営業損失が40億円の赤字と厳しい状況になっている。
ただ不振が続いていた薄型テレビは、不採算モデルの絞り込みや構造転換が進んだことにより、17億円の黒字化を実現。「構造改革効果に加え、大画面展開、非テレビパネル展開などにより収益は2012年3月期第3四半期累計から約900億円改善している。年間1100億円の改善に向け、ほぼ想定どおりの進捗だ」と河井氏は現状を説明した。
また、北米、アジア地域で販売増となったオートモーティブシステムズは増収増益。「商品開発費が増加したため営業利益率が1.7%にとどまっている。オートモーティブジャンルは中長期での商品開発がポイントになるため、既存事業のみならず新規事業についても積極的に取り組んでいる」と意欲を見せた。
河井氏は「第3四半期はいろいろな要素があり、利益が出てきているがまだ十分ではない。全社をあげて徹底した経営戦略を見直し、事業推進のあり方、収益構造の変革に取り組んでいる。これがある程度できてきたら、会社の構造が変わってくる。今はまだその過渡期だと思っている」と慎重な姿勢を崩さない。
過渡期という状況を受け、パナソニックは第3四半期で黒字に転じたものの、2012年3月期通期の連結業績見通しは、売上高7兆3000億円、営業利益1400億円、税引き前損失は3650億円、当期純損失は7650億円と、10月時点の見通しを据え置いた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス