KDDIは1月30日、インキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo(∞ Labo)」第3期の最優秀チームを発表した。最優秀チームには、モバイル向けのチケッティングサービス「tixee」を提供するLiveStylesが選ばれた。
∞ Laboは2011年にスタートしたKDDIのインキュベーションプログラム。スマートフォン向けのサービスやアプリケーションを開発する企業、学生を対象に3カ月間支援する。2012年12月にDonutsによる買収が発表された「ソーシャルランチ」運営のシンクランチをはじめ、これまで参加したすべてのチームがプログラム期間内にサービスを提供開始したり、強化したりしている。
2012年9月から12月にかけて実施された第3期に選ばれたのは次の5チーム。(紹介は同日開催されたイベントでの登壇順)
今回で3回目のプログラムを終了した∞ Labo。第1期メンバーであったシンクランチの買収や、同じく第1期メンバーのギフティがファミリーマートと共同でキャンペーンを実施するなど、同プログラム卒業生の実績も出てきている。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、「スタートアップ環境は確実に改善し、質、量ともに良くなってきている」と語る。
一方ではいくら支援しても、大手企業との提携など“次のステージ”に踏み出せないスタートアップがいる状況だとし、「(事業面でスタートアップと協力できる)事業会社の役割は『重要』ではなく『超重要』だ。サービスやアプリケーションが『面白い』で終わってしまうのはまずい」(田中氏)とした。
結果をアピールする田中氏だが、プログラム自体はまだまだ赤字の状態だと説明する。だが、投資なども含めて短期での収益化を狙っていくのではなく、「志の高い、若いエンジニアを応援したい」と、今後も支援を続ける姿勢を見せた。「もっとお金を使います(笑)」(田中氏)
田中氏が言う「お金を使う」は、3カ月のプログラムに閉じた話ではない。定常的に収益を得られないスタートアップ向けのセーフティーネットとして、∞ Labo卒業生に対して仕事を発注する「エンジニアプール」といった取り組みも進めているという。
同イベントでは∞ Laboのラボ長を務める増田和彦氏から、第4期のプログラムについても案内がなされた。第4期のプログラムは3月中旬から6月上旬を予定する。これまで同様に東京・渋谷のヒカリエ32階に専用の開発環境を用意するほか、KDDI社員によるメンタリング、サーバ環境の提供、最新OSや端末の情報提供、貸与、サービスのauスマートパスでの公開などでスタートアップを支援するという。応募条件の詳細に関しては∞ Laboのサイトにて公開している。
なお第4期では、これまであった一般枠と学生枠に加えて、HTML5でのサービス開発やツール開発を目指すチーム専用の応募枠を用意している。公演後の会見で田中氏は、記者らに対して「まだまだアプリOS(ウェブOSと比較した現行のOSを指して)に比べてやれることは限定されているが、時間の問題。枠を設けることでもっと注目して欲しいし、最初のランナーに支援し、世に出ていって欲しい」と語った。
会見では、「シンクランチの買収に関してどう考えているか」といった質問も挙がった。これに対して増田氏は「正直、最終的な選択は各チームにある。最初に立てたゴールがそのままの形で消化していく形もあるし、そうではない場合もある。彼らは(買収後に)ベースとなるコンセプトを残しながらリニューアルしている。これはこれで『あり』だと思う」とした。
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