読者の皆さんは、「Ubuntu」や「Tizen」「Firefox OS」をOSとして搭載したスマートフォンの購入を検討しようと思うだろうか。ほとんどの人にとって答えは「ノー」であり、それはこの先も変わらないだろう。
なぜだろうか。「Android」と「iOS」は世界市場の覇権をめぐって争っており、その勢いが衰える気配はない。両社とも非常に良く発達したエコシステムを有しており、サービス間だけでなく、個別の携帯端末間での情報共有も、かなり簡単で統一されたプロセスとして行える。アプリ開発は活発に行われており、OSアップデートは、スマートフォンの持ち主がパーティーで見せびらかすことができるほど定期的に行われている。
一方で、Microsoftは2けたの市場シェアを確保するために大量の資金をつぎ込み続けているし、Research In Motion(RIM)は、最後の賭けとして近々発売するOS「BlackBerry 10」が、かつての熱心なファン層を取り戻してくれることを期待している。
今は新規参入組が歓迎される時期とはとても思えない。
4つのOSがユーザーの注意を引こうと競い合う中で、ブラウザ(Firefox)のメーカーが指揮するプラットフォームや、ソフトウェアの実績はぱっとしない大手ハードウェアメーカー(Tizenを開発したサムスン)のOS、また長年の取り組みにもかかわらずデスクトップでまだメインストリームとなっていない「Linux」OSについて、真剣に検討する人がいるのだろうか。
4頭立てレースはあまり面白くないとあなたは思うかもしれないし、「BlackBerry」はいまだに危機に瀕している。そのような中では、この3つの新しい有望なOSは、iOS、Android、「Windows Phone」とは違う、何か歓迎すべきものをもたらすだろう。それに、ユーザーというのは昔から選択するのが好きではないか。
理論的にはそうだ。しかし2009年当時の状況を思い起こして欲しい。当時は、BlackBerry、「Symbian」「Windows Mobile」、Palmの「webOS」、そして「iPhone」、Androidという6つの主要なモバイルOSがユーザーを奪い合っていた。競争は活発だったが、複雑さや、不均等なカスタマーサポート、端末の入手しにくさ、アプリやOSの開発の不十分さといった問題もあった。
その1年後、MicrosoftのWindows MobileとPalmのwebOSが脱落し、RIMのBlackBerry OSの開発も滞るようになった。Nokiaは、表向きはまだSymbianをサポートしていたが、その立場を利用してWindows Phoneの再始動を支援していた。
モバイル市場が集約されていったのにはいくつかの理由があるが、その1つとして、それぞれのOSが、豊富な開発資金を確保するのに十分な数のユーザーの支持を得られなかったことが挙げられる。新規参入組の1つが現在の過酷な状況の中で成功するためには、資金と、高い競争力のあるハードウェア、そしてまったく新しい機能かアプローチが必要だろう。
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