スマートフォン、アプリ業界の2012年をデータで振り返り、去年と今年の違いと、今年のビジネス上の特長をまとめてみたい。まず特長を探り出すため、2011年と2012年11月25日の日米市場とiPhone・Androidのアプリ平均単価とアプリ販売傾向を表にまとめた。分析には、スマートフォンアプリのマーケティング分析ツールQuerySeeker Analyze(クエリーアイ)を使用した。
有料ランキング上位300位以内のアプリ平均単価は、日米のiPhoneでは去年と今年でほぼ横ばいに推移している。しかしAndroidでは日米ともに平均単価が上昇しており、特に日本の場合は292円から371円と約27%上昇している。これは有名なパチンコ/パチスロ・アプリ(押忍!番長2など)やツール系アプリ(ATOKなど)の高額アプリがランクインしているためだ。iPhoneアプリでも平均単価は242円となっており、iPhoneアプリ市場で売れるものは100円アプリだけだと言われていた数年前からは隔世の感がある。
売上ランキング300位以上にランクインしているアプリの平均単価は、去年と今年で劇的な変化があった。無料アプリの増加である。これは無料でアプリを配布し、後からアイテムなどの購入を促進し課金することで売上が発生し、売上ランキングにランクインしているアプリが増加したことを意味する。日米、iPhone、Android全てで売上ランキング中の有料アプリは1年でほぼ半減している。
日米のiPhoneと米Androidでは売上ランキングでのアプリ平均単価は下がっている。つまり去年までは高額アプリをたくさん売って儲けるという方法から、無料アプリからアイテム課金で儲けるという方法にシフトした。ただし、日本のAndroidだけは平均単価が上昇しており、より高額なアプリが売上ランキング中に残るようになっていることも見逃せない。
今年の売上ランキング中の50位以上に限ってみて見ると、日本のiPhoneアプリでは全てが無料ゲームだった。米国のiPhoneアプリでは約20%が何らかのジャンルの有料アプリが占めており、無料化の流れはあるものの有料アプリも健在であり、日米の市場環境の差が表れている。Androidに関しては日本では900円、1500円などの高額アプリが数本ランクインし、米国でも同様に5ドル、7ドルなどのアプリが数本ランクインしていた。
儲かるアプリはAndroidでは有名タイトルで高額なものであり、iPhone/Android共に無料ゲームでアイテム課金、という形が定着したことが伺える結果となった。
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