電通担当者が明かすソーシャルメディア活用の心髄 - (page 2)

社内にもう一つのコールセンターを設ける覚悟があるか

--一方、ソーシャルメディアにどう取り組んでいいかわからないという企業もまだあると思いますが。現状いかがですか。

西山:ソーシャルメディアの活用はもう当たり前になっているので「Twitterを絡めて口コミで広げるキャンペーンをやりたい」「Facebookを使って商品プレゼントをしたい」などの依頼は以前と比べてさほど増えていません。今はもう少し中長期的な取り組みが求められていますね。ソーシャルメディアを使ってユーザーと中長期的なコミュニケーションにどう取り組んでいくか。ここを課題と認識されている企業が多いように思います。ただこれに関して正解はなくて、企業ごとのカラーやユーザー特性に則した取り組みをする必要があります。

  • 「あえてソーシャルメディアを絡めた提案をしなくていい場合もある」と森氏

森:各企業によってアドバイスもケースバイケースです。長期でソーシャルメディアに取り組むには、組織体制やリソースの確保、アウトソースの有無などを知っておく必要がある。その環境に応じて、あえてソーシャルメディアを絡めた展開をしなくても良いと感じる場合もあります。

西山:やはり企業側の体制が整っていないと上手くはいきませんね。各企業のTwitterアカウントやFacebookページは基本クライアントのものですから、クライアントと我々で協力体制を作って進めないと、なかなかうまく行きません。

森:中長期的なコミュニケーションにソーシャルメディアを使うのは、社内にコールセンターを置くようなものです。その心構えができているのか、を確認する必要がありますね。

  • 西山氏は「ソーシャルメディア的目線で作られたテレビCMが登場してきた」と話す

西山:ソーシャルメディアを使ったプロモーションがしたいからはじめるのではなく、その背景で何がしたいかが大事です。それはソーシャルメディアを使って解決できるものならば利用するべきですし、そうでないならばあえて使う必要はない。現在一つの傾向としてあるのが、若年層を取り込むためにソーシャルメディアを使いたいというケースです。

森:あと、マーケティングリサーチの活用手段として利用するケースも多いですね。

西山:ただこれも企業ごとのケースバイケースですから、ソーシャルメディアを使えばすべて上手く行くというものでもないです。

--やはり企業側の体制が大事ですね。そう考えると今後各企業で働く社員はソーシャルメディア的な能力が必要になるのでしょうか。

森:能力が必要かどうかはわかりませんが、例えば、米国の航空会社では、お客様に対して「不満があったらつぶやいてください」という場所を設けています。そこには専任担当者もいますが、コールセンターの担当者もチェックしている。ここに広告的なクリエイティブは介在していません。

 しかし、とある商品を売りたいと思ってソーシャルメディアを使う場合は、仕掛けが必要になってくる。その中でいかに生活者が乗ってくれるコンテンツを出せるかは広告的なクリエイティブが重要になってくるんです。

西山:ソーシャルメディアの使い方を間違えると、始めたはいいけれど上手くいっていないという結果に陥りがちですね。

森:例えばYahoo!ニュースに出すコンテンツとニコニコ動画に出すコンテンツは、内容が違いますよね。それは媒体によって文脈が変わっているので、その媒体の感覚に合ったものを出しているからです。ソーシャルメディアもそれと同じで、お客様からのサポートセンター的な役割と、商品のプロモーションを同じ文脈で取り組んでもだめなのです。

 ただ、商品を売りたいときにソーシャルメディアの感覚に合わせたコンテンツだけを出すと、埋没してしまって目立たない。そこで感覚は合わせているけれど、目立つもの、全く違うものを出すというクリエイティブが必要になります。

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