クリエイターの才覚

社内交流から生まれるスピード感--グリーに見るクリエイター育成環境

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 この連載では、企業の技術者採用担当者とそこで活躍するウェブクリエイターへの取材を通じて、優秀なクリエイターを企業がどう惹きつけるか、またビジネスで必要とされるクリエイターとはどのような人物なのかを明らかにしていく。

 第8回は日本のソーシャルゲーム業界を牽引し、グローバル市場へと積極的に攻勢をかけるグリー。同社の従業員数は6月末時点で1864人となっており、この1年間で約3倍に拡大、エンジニアやデザイナーの採用ペースも同じく3倍程度に急拡大しているという。

 ここでは、ヒューマンリソース本部 人材開発部長の鈴木修氏、メディア事業本部 クリエイティブセンター 部長の樺澤俊介氏、クリエイティブセンター マネージャーの東野雅也氏の3名に、主にデザイナーの業務内容や採用方針などについて聞いた。


左から、グリー ヒューマンリソース本部 人材開発部長の鈴木修氏、メディア事業本部 クリエイティブセンター 部長の樺澤俊介氏、クリエイティブセンター マネージャーの東野雅也氏

モバイルデザインに惹かれてグリーへ

 樺澤氏は、同社のプラットフォーム、ソーシャルゲーム、グッズ、プロモーションなど、すべてのデザインを管轄する部署の部長として働いている。目下のミッションは東京、大阪、ソウル、北京、ロンドンなど各拠点のデザイン組織構築だ。


「モバイル向けのデザインに惹かれた」と東野氏

 東野氏は、GREE Platform(グリープラットフォーム)や新規のアプリなどにおけるデザインを担当している。カバー範囲は、情報設計からフロントエンド実装まで幅広い。

 東野氏がグリーに入社したのは2008年6月。前職はウェブサイト制作会社でPC向けのコーポレートサイトのデザインなどを担当していたが、当時はモバイルのページビューがPCを上回りはじめていたこともあり、モバイル向けのデザインに惹かれていったという。

 グリーのコア事業はSNS。東野氏は転職を考える上でゼロベースで構築できるところがいいとグリーを選んだという。

プロとして個を結束させる社内コミュニケーション

 グリーのデザイナーは横の連携が密なことが特徴だ。樺澤氏、東野氏が所属するクリエイティブセンターでは、毎週、全デザイナーのクリエイティブをWikiで共有し、いつでも閲覧できるようにしている。また、個人が参加した外部セミナーのレポートなどの報告会も、ランチをとりながらカジュアルなスタイルで頻繁に開催し、お互いの知見を高めているとのことだ。


積極的に社内交流を実施する意味を語る鈴木氏

 デザイン業務以外でも、金曜日には豪華なケータリングが用意される全社員参加のパーティーも開かれる。夏には縁日をコンセプトにした飾り付けや演出もされ、社内の交流を盛り上げたという。

 鈴木氏曰く、積極的に社内交流を実施する一番の目的は、中途社員と周囲との関係構築だという。急拡大しているグリーは中途社員の割合が高い。新人社員に比べ中途社員はセルフモチベートできる強みが相対的にあるため、自分を律することで個としてスキルアップを図ることができる。

 一方で、他の社員と関わるインセンティブが低くなりがちでもある。社内交流の施策を展開することで、中途社員同士がナレッジや情報を共有し、そこに新人も参加してクリエイター全員でレベルアップしていく。そんな狙いがあるという。

 このような施策の成果もあってか、チームメンバーがお互いを信頼し、また1人1人が主体的に動けるため、デザインに関する承認・レビューのプロセスはできるだけ圧縮され、意思決定もほとんど現場レベルで行われているという。そのフラットな制作体制によって、他社と比較してもアウトプットのスピードは早いそうだ。

グリーで幸せになれるクリエイター像

 グリーのデザイナーの採用プロセスはシンプルだ。書類選考のあと、面接が2~3回ほどある。デザイナーは特に作品での選考が重視され、面接時もポートフォリオを見ながらの対話が多いという。


「求めるデザイナー像は年々変わる」と樺澤氏

 グリーに必要とされるデザイナー像は、年々変わってきていると樺澤氏は言う。数年前までは絵が上手いイラストレーターを広く募集していたが、現在はプロダクトの立ち上げから参画し、世界観を作り、デザインのクオリティをコントロールできるアートディレクターのような人や、UI/UXに特化したスペシャリストなどが求められてきているという。鈴木氏も、ただ美しいものを作れるだけではなく「どうすれば楽しい体験を生み出せるか」という意識が必要になっていると語る。

 樺澤氏は採用面接で「その人がグリーにマッチするか。幸せになれるか」を見ると語る。具体的には“柔軟性があり、変化を楽しめる人”だそうだ。東野氏も同様に柔軟性、そして主体性を挙げた。

 一方、鈴木氏は仕事に対するスタンスに近い部分を見ると語り「自分のこだわりを楽しく話せる人が望ましい」と説明する。そのこだわりとはどういったポイントでも構わない。何かこだわりがあるからこそ、クリエイティブしていく上でそのこだわりを軸にプロとしてクオリティを追求することができる。こだわりを持ち、そしてチームの一員として受け入れられる、決してエゴではない人を歓迎する。

 取材の最後、鈴木氏は「過去にない新しいマーケットだからこそ、根拠のない自信も大事。これからどんどん挑戦をしかけていきたい、自分のこだわりで世界を驚かせたい。そういう方はぜひチャレンジしていただきたい。そして、グリーの中で個性をどんどん発揮していただきたい」と締めくくった。

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