「食の感度の高いユーザーは日本には相当数いるはず。その人たちがきちんと可視化されて、コミュニケーションを心ゆくまでできる場はこれまでなかった。たとえば、あるラーメン店のファンが最も評価するお店について語りあった時、そこで得られる情報というのは、いわゆる普通の人たちにとっても価値がある。一部の人たちによる内容の濃いやりとりが、二次的な価値をもってより多くの人に届くようになる」(中村氏)
リアルでのコミュニケーションの場も用意する。12月に移転した渋谷の新オフィスにはキッチンが設けられており、現在はスタッフが交代制でまかないランチを作っている。今後はお昼時にユーザーが気軽に訪れ、スタッフが料理を振る舞ったり、逆にユーザーにmiilで人気の料理を作ってもらったりと、双方が日常的に交流できる場にしていきたいという。
マネタイズにも力を入れていく。miilでは、2012年の夏ごろからローソンやオイシックス、宅麺などとタイアップしたフォトコンテストを定期的に開催している。「秋冬うまうまごはん」や「ウチカフェスイーツ」など、特定のテーマに関する料理の写真を投稿してもらう企画で、受賞者には賞品が贈られる。
もともとは、丑の日に「パワー飯」というテーマでフォトコンテストを開いたのがきっかけ。うなぎに限定せず“スタミナがつく料理”を広く募集したところ、予想を上回る投稿があったという。中村氏は、今後miilを“食のブーム”の発信源にしていきたいと語る。
「もしかすると僕らがテーマを設定したことで、丑の日=うなぎというイメージを変えられたのかもしれない。これまでmiilは、投稿された写真を見て流行を知る“ユーザーの食を追うメディア”だったが、これからは“ユーザーの食生活に新たな提案をするメディア”にしていきたい。たとえば『食べるラー油』のような、新しい食材や食べ方の発信源にしていきたい」(中村氏)
フォトコンテストは多くの企業から引き合いがあり、年内の参加枠はすべて埋まっている状況だ。試験的に提供していたこともあり、これまでは無料で展開していたが、2013年からは有料で提供していく。また、APIや管理ツールを用意し、miilに蓄積されたデータを継続的にパートナー企業へ提供することも検討しているという。
「miilの発信者には影響力があり、写真のクオリティも高い。またFacebookやTwitterと連携すれば、投稿した写真を拡散させることもできる。新たなマーケティング支援ツールとして、食品メーカーなどにも活用してもらえると思っている」(中村氏)
大型の機能追加やマネタイズの本格化によって、「SnapDish」や「食べラ」「Evernote Food」など、競合がひしめく料理写真共有アプリの領域でさらなる飛躍を目指すmiil。同社にとって2013年は大きな挑戦の年となりそうだ。
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