フード写真をソーシャルに共有するiPhoneアプリ「miil」を提供するFrogAppsは5月17日、リード・キャピタル・マネージメントが運営管理するアント・リード2号投資事業有限責任組合およびアント・リード・グローバル投資事業有限責任組合を引受先とする約2億円の第三者割当増資を実施したと明らかにした。払込日は5月2日。今回の調達に伴い、リード・キャピタル・マネージメントからマネージングパートナー(ベンチャーキャピタル投資担当)の高階匡史氏が新たに取締役として就任する。
また同時に、5月下旬に電通デジタル・ホールディングスが運営管理する電通デジタル投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資が決定されていることも明らかにしている。一連の資金調達の総額は約2億4000万円に上る。
2010年9月に創業した国内スタートアップが大型の調達に成功した。FrogAppsが2011年10月にリリースしたmiilは、ユーザーが撮影した食事の写真を友人と共有し、関連づけられている情報から店舗などへの誘導を実現する無料のiPhoneアプリ。これまでにダウンロードされた数は5万件で、アクティブ率を指し示す「食べたい」ボタンは250万回押されているという。
FrogApps代表取締役の中村仁氏は都内に複数の飲食店を経営する“飲食のプロ”だ。今回の調達について中村氏は「今回の増資でこれまでの事業計画を2014年から2013年に前倒しして実行する」とコメント。競合が続々登場するフード系ソーシャルサービスの集団から一気に抜け出しを計る。これを機に開発エンジニアとマーケティングなどの人材強化を計り、早期の上場を目指すとした。
中村氏が描くmiilの世界観はまさに“食のソーシャルプラットフォーム”そのものだ。「あらゆる食に関する情報がここ(miil)に乗ってくる。例えばある駅に降りたら、その場所でおいしいお惣菜の写真と一緒にそのお店が出てくる。地域情報やレシピ情報とタイアップして、食に関連してさまざまな情報を提供することも可能になる」と語る。
ビジネスモデルについても、店舗課金の展開を検討するほか、「タイアップモデルをもう少し育てようと検討中。食品メーカーからレシピを使った写真投稿キャンペーンの話もある。外食であれば『どこどこのお店にいって写真を撮れば何か当たるよ』というキャンペーンを行うアイデアもある」と、中食や外食問わず幅広くビジネスターゲットに組込むとした。
miilが特徴的なのはやはり食に関する興味の可視化だ。250万回押された「食べたい」という数字を引き合いに「見込み客が可視化される。この見込み客を集客に繋げる最後の一手としてmiilを活用できることを考えている」と、来店履歴や常連度の可視化がビジネスのポイントになると話す。
海外展開についても意欲を見せる。「いつも北米のサービスを先行例として話をするが、それを覆したい。自分のこれまでの経験から言えば、食に関するウェブサービスは日本が一番進んでいる。Yelpよりも食べログが優れているし、Foodspottingにmiilが負けているとは考えていない。ここから十分世界を獲れると考えている」(中村氏)
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