「miilは既存のグルメサービスを補完する最強のサービスになる」――FrogApps代表取締役の中村仁氏は、サービス開始から1年が経ったフード系ソーシャルアプリ「miil(ミイル)」について、このように手応えを語る。2013年は大型の機能追加によって、さらなる成長を狙う。
miilは「豚組」など複数の飲食店の経営者でもある中村氏が、2011年10月に公開したサービスだ。オリジナルのフィルター機能を使って簡単に料理の写真を美味しそうに加工できるのが特徴で、ユーザーは投稿された写真に対して「食べたい」ボタンを押したり、コメントを残すことで気持ちを表現できる。
12月上旬時点のアプリのダウンロード数は国内で約20万(iOS/Android版の合計)を突破。写真の投稿数は約100万件にのぼり、「食べたい」ボタンは約640万回押されている。さらに、飲食店のスポット情報も月に1万件のペースで増加しているという。
miilの強みは“主婦層”から高い支持を得ていること。実際にサービスを使ってみると、飲食店の写真以上に自炊した料理の写真が数多く投稿されていることが分かる。また、どの料理も色合いや盛り付けにこだわりが感じられ、美味しそうに見える。その理由について中村氏は、多くのユーザーがmiilへ写真を投稿することを日々の自炊のモチベーションにつなげているからだと考える。
「基本的に家で作った料理を食べてくれるのは家族だけ。それが毎日続くと、どうしてもありがたみが薄れてきて、『ありがとう』も『美味しい』も言われなくなる。miilに投稿することで、そんな孤独で報われなかった手料理が発表の場をもつ作品に変わる。お皿や写真のアングルにこだわって撮影するとリアクションも増えるので、どんどん見栄えのいい料理を投稿しようと思うようになる」(中村氏)
このように堅調な成長を続けるmiil。サービス開始から1年が経過し中村氏が強く感じているのは、miilは既存のグルメサービスが抱える弱点を補うサービスになりうるということだ。「食べログ」を筆頭に数多くのグルメサービスが存在するが、中村氏はそのほとんどが「写真の持つ力を生かしきれていない」と指摘する。
「どのサービスに投稿されている料理の写真もあまり美味しそうに見えない。店舗からしても『こんな写真だったら載せないでくれ』と思うこともあるだろうし、それはユーザーの行きたいと思う気持ちの妨げにもなってしまう。今後はグルメサービス各社とうまく連携して、miilの写真を活用してもらうことで、クオリティの高い写真が揃わないという課題をうまく解決できると思っている」(中村氏)
さらなるユーザーの獲得に向けて新機能も実装していく。12月18日にはレシピ投稿サイト「楽天レシピ」と連携し、自身や他のユーザーが投稿した料理のレシピデータを添付できる機能を公開した。中村氏はこの機能によって、一般ユーザーだけでなく、飲食店が実際に店舗で提供している料理のレシピなどを公開するといった、miilの新たな活用方法も生まれてくると期待している。
「ユーザーがレシピを投稿するモチベーションにもつながると思っている。従来はレシピを投稿する際に、どれだけの人が使ってくれるか分からないという不安があった。それがmiilであれば、料理写真を投稿したあとに、他のユーザーにレシピを教えてほしいと言われて初めて公開するといった、新しいレシピ投稿のプロセスを作ることができる」(中村氏)
2013年前半には、miil内で直接ユーザー同士が交流できるコミュニティ機能も提供する。miilには自炊から飲食店にいたるまで、幅広いジャンルの料理の写真が投稿されており、「食べたい」ボタンやコメントによるユーザー間のコミュニケーションが活発に行われているという。
また、miilユーザーによるリアルでの交流会も開かれているが、現状のmiilでは写真へのコメントなどを通じたコミュニケーションが中心であるため、ユーザーはスケジュール調整などにFacebookなど外部のSNSを使う必要があった。こうした状況を受け、新たにコミュニティ機能を提供することにしたという。中村氏は同機能が「ユーザー数を拡大する起爆剤になる」と見ている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス