ロシアを中心とする国々は、インターネットの管理を国連機関である国際電気通信連合(ITU)に委譲するという、論議を呼ぶ提案を取り下げた。欧米諸国は、国際電気通信条約をめぐる協議の中で、この提案に反対していた。
中国やサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)なども支持していたこの提案は、ドメイン名やアドレス、IPアドレスといった、インターネットにおける重要なエンジニアリング資産の制御権を加盟国が入手できるよう国連が後押しすることを求める内容となっていた。一方、米国やカナダ、フランス、スウェーデンなどは、現在の自由でオープンなインターネットに対する深刻な打撃となるおそれがあるとしてこの提案に反対していた。
ITUはドバイで現地時間12月3日から、国際的な電気通信を管理する多国間条約の見直しを目的とする会議を開催していたが、この会議は物議をかもすものとなっていた。前回の改訂が1988年だったこの条約の改訂によって、インターネットに直接的な影響が及ぶ可能性もある。
同会議が開催される前の11月にこの提案の詳しい内容が流出した結果、ロシアは反インターネット色の強かった文言をトーンダウンさせ、提案を改訂せざるを得なくなった。しかし、インターネット関連の権限を今まで有したことがなかったITUに対して特定の権限を与えるという新たな条項を追加するという提案を継続していた。
ITUの広報担当者がReutersに語ったところによると、ロシアをはじめとする国々は提案を撤回したという。
米国のサイバーセキュリティ専門家として戦略国際問題研究所(CSIS)に勤務するJim Lewis氏は、「ロシアや中国は強い態度に出すぎたようだ」と述べている。
ITUにおける複数の委員会は、12月12日までに提案の草案を作成するための会議を行っている。最終的な草案の内容は13日に提示され、条約への署名は14日に行われる予定だ。しかし、こういった会議の多くは非公開で行われており、重要な文書も公開審査の対象とはなっていない。これは、インターネット標準の策定時において採られている従来の手法とは対極にある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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