国連の機構である国際電気通信連合(ITU)の会議が、中国が提案した非公開の勧告を採択した。この勧告は、ネットワークプロバイダーがBitTorrentのアップローダを特定し、著作権で保護されたMP3ファイルのやり取りを検出するのを容易にするものだ。批評家らは、弾圧的な国でのインターネット検閲を加速するものだと指摘している。
ITUによる承認は、ドイツの反対を押し切きる形で行われた。ドイツはITUに対し、「通信コンテンツの規制強化やコンテンツ検閲の正当化、情報やアイデアの自由な流れの阻害につながる可能性のある、いかなる技術的手法も標準化してはならない」と警告していた。
ITUは11月、ドバイでの会議でディープパケットインスペクション(Deep Packet Inspection:DPI)に向けた非公開のY.2770標準を採択した。現時点ではメンバーだけがその文書にアクセスできる。関連するITUの会議は今週ドバイで開幕したが、この会議は米国政府や多くのインターネット企業から厳しい批判を浴びている。
Y.2770は非公開であり、その詳細の多くは不透明のままだ。しかし、韓国の標準化機構が投稿した文書には、ネットワーク事業者が「MP3データに埋め込まれた電子透かし」の識別や「著作権で保護されたオーディオコンテンツ」の発見、「スペイン語テキストでのJabberメッセージ」の検出、「アップロードしているBitTorrentユーザー」の特定をどのような方法で実行できるようになるかが記載されている。JabberはXMPPとも呼ばれるインスタントメッセージングプロトコルだ。
Center for Democracy and TechnologyのAlissa Cooper氏とEmma Llanso'氏は共同ブログの投稿で、ITUは「DPIがプライバシーに関わるということをほとんど認識していないだけでなく、DPIによるプライバシーへの潜在的な脅威をどのように軽減するのかについても十分に分析していない」と述べている。
DPIは、ネットワーク攻撃の回避やマルウェアの検出、緊急度に応じたアプリの優先順位付けなど多くの有益な目的に貢献する技術だ。しかし、DPIが政府の法規的または超法規的な監視で使われたり、一部の通信事業者(Verizon Wirelessなど)によって広告関連の目的での監視に使われたりする場合については、論議を呼んでいる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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